第六十〇話『破られなかった』
「影・・ケロ?」
ケロケロさんは不思議そうに言った。
===
「知らなかったんかい!」
私はケロケロさんに突っ込む!
分身の術の本人のところには影が存在して、それを見れば本体がわかることについてだ。
もちろん本人は知っていて、そのリスクを抱えながら大技を使っているのかと思っていたけど、全然そんなこともなく、自分も知らなかったという。
四天王ってそんなもんなの!?
「いままで誰にも破られなかったケロ!」
ケロケロさんは言う。
強すぎて誰も見破れなかったみたい。
自分も気がついてないのはどうかと思うけど・・・
「それは・・・アホすぎるな・・・」
ライオンが言う。
そう、ライオンは一貫してケロケロさんのことを複雑な技を使う割に単純だと言っているけど、スキルと性格があってないということなのかもしれない。
「確かに・・・一回目でライオン気付いてたもんね」
私は言う。
そう、この戦いのさなか、一回目の攻撃で仕組みが読めたとライオンは言っていた。
その洞察力はなかなかといっていいものかもしれない。
「でもあれかも、四天王相手に、余裕があるうちらが珍しいということでもありそう」
へびくんが言う。
私たちは三人でキマイラ。とくに私だけが振り回される役をになっている気がするけど、私一人だったら当然気がつかなかったかもしれない。
「現場と頭脳が分離されているというのはあるな」
ライオンが言う。
三権分立みたいなことかしら、全然違いそうな予感はするので言わなかった。
「あのー、本来はあなたも現場の人なんですけど・・・キマイラのメインウエポンどう考えてもライオンでしょうが・・・サボるのを頭脳労働感だす作戦でしょ!!」
私がライオンに抗議する。
そう、一般的なイメージだとライオンがバシバシ戦う気がするのよねー。
ヤギってこんなに働く?普通!
けなげな女子高生ヤギなわたし。
「まぁ、そういう説もあるな。ただその効果が今回でたから俺が正しいな」
ライオンが主張する。
そう、つまり頭脳が自由になっているから、一回も攻撃をもらっていないというのは事実としてありそう。
「確かに・・・そういう説もあるわね。結果オーライ的な」
私が言う。
勝てばいいのか。痛いの嫌だし。
「普通四天王に分身の術されたら、それを避けるだけで精一杯になって影なんてみる余裕ないよね。僕もライオンが気がついてなかったら、そこに気がつけたかどうかは怪しいよね」
へびくんが言う。
確かにそうかもしれない。
「なかなかやるケロね!」
ケロケロさんは言った。
私たちの強さがわかってきたみたい。
目つきが変わった。
「さすがにもう分身の術攻略でダメージ稼げないか・・・」
ライオンはつぶやいた。
そう、さすがのケロケロさんでも、ここまで攻略されていればもう分身の術は使ってこないだろう。
「しかたないケロ。次のスキルを使うケロ!」
ケロケロさんはそう言って次のスキルを発動した。
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