第三十八話『ハシビロコウ』

「ハシビロコウだ!」ライオンが言った。


少し変わったフォルムの鳥類。

ペリカンのような大きいくちばしを持ち

性格の悪そうな目をしている鳥。


そう、次のモンスターはハシビロコウだったのだ。


「かわいー!」

と私が言う。

めちゃくちゃキュートなくちばしに、ちいさいおめめがラブリー!

私はそう思ったのだ。


「「え?」」

とへびくんとライオン。

男子二人が言う。

あれ?かわいくないの?


「いやいや、可愛くないでしょ、キモいよ!」

とへびくんが言う。


「えー、かわいいよぉぅ」

と私が言う。


絶対にかわいいって!!

これだから男子は!!

センスを疑っちゃうわ!!


「キモカワってやつか」

とライオンが理解する。

キモいというのを訂正しないのがかなり気になるけど。

まあ、よしとしておこう。私は優しいからね!!


「女子はへんなの可愛いって言うからなぁ・・・よくへんなキーホルダーつけてるもんね・・・」

とへびくんは言う。


女子のキモカワ趣味に、心当たりがあるらしい。

お姉ちゃんでもいるのかしら?

へびくんの器用さから考えるにお姉ちゃんがいる方が自然だ。


「いやー、可愛くないでしょ!絶対悪いこと考えてるよあの顔」

とハシビロコウに対して、言いたい放題のへびくんだった。

なにか恨みでもあるのだろうか・・・

ハシビロコウに・・・。


「ぜったい、魔法とか使ってくるって!性格の悪そうな魔法を!やぎっち、「天秤 - ライブラ」で確認して見てよ!」

とへびくんは私に促す。

確かにこのタイミングで見ておいた方があとあと、楽になると思う。


「うん。」

と「天秤 - ライブラ」を使った。


<ハシビロコウLv10 属性:闇>

と聞こえてきた。


「ほらぁ、やっぱり闇でしょ、性格悪い魔法つかってくるって!!」

と笑う。

やっぱりハシビロコウに対する態度が酷いへびくんだ。


すると、ハシビコロウが光りだした。

「あ・・・」

とへびくんが言う。


「ヤバイ!逃げてヤギっち!」

とへびくんが言う。

しかし、もう遅かったようだ。

すでにハシビロコウがスキルを発動していた。


「低速化 - スロウ」


謎の光が私に飛び込んでくる。


「うあぁぁぁぁぁ、なんじゃこりゃぁぁぁぁあぁぁ!!」

と私は叫ぶ。


怖い!怖い!怖い!


「体が・・・体が・・・自分のものじゃないみたいに動かない・・・」

と、私は震えながら言う。

自分の体が、自分の思い通りに動かないのが、こんなに怖いことだったなんて・・・。


「これじゃ、敵の攻撃が避けられない!!」

そう、大ピンチだった。

近づくことも避けることも出来ない。

いつものような戦い方が出来ない!!


なんと、ハシビロコウは一ミリも動かずに、私達を大ピンチに追い込んだのだ!!


「なかなかやるな、ハシビロコウ!」

とライオンは笑った。


「戦闘開始だな」

とライオンがクールにそう言った。

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