第十七話『ドキーン』
「この炎は・・・想像以上だ・・・何者なのいったい?」
と驚きながら、妖精くんが私たちに聞いた。
確かにこの爆炎を見たらびっくりするかもしれない。
なぜなら私もびっくりしたし、多分、ライオンもびっくりしている。
「通りすがりのキマイラです。」
私が代表して答えてみた。爆炎の中で。
私たちは『ヒョウLv15』を倒していた。
「この炎、すげえな」
と、やっぱり炎を出した張本人のライオンも驚いていた。
確かにこれは驚く、前回、放った時の『獄炎 - ファイヤーブレス』とは規模が違う。
前回のですら十分火事だったけど、今回のこれは、そのレベルすら超えてる。
「これで、レベル3なんだね?」
とへびくんが確認する。
「これ以上強くなっちゃってどうするんだろう」
とヘビくんも笑った。
「もうすでに十分魔王感があるわね。むしろこんな強い魔王っているのかしら?」
と私は魔王の強さとはなにかを考えてみた。
パンチで地球を真っ二つにできたりしちゃうのかしら。
「そこを疑うレベルだよね」
と、へびくんが笑った。
「まあ、しばらく吹けないんだけどな」
とライオンが『獄炎 - ファイヤーブレス』について言った。
そう、前回は、一度使ったあとしばらく使えなかったのだ。
思いの外制限のある最強スキル『獄炎 - ファイヤーブレス』なのだった。
「そうだった。てか、それ気になってたのよ!!「獄炎 - ファイヤーブレス」吹けない状態でボス戦どうすんのよ!」
と、私は抗議する。『獄炎 - ファイヤーブレス』を残しておいて私とへびくんで戦うという案もあったはずだ。ボス戦この状態で一体どうするのか。
「たしかに・・・」
と、へびくんが言った。
「しょうがねえだろ、炎に傷つくヤギを見てらんなかったんだよ」
といきなり、告白とも言えることをさらっと言ってきた。
「えっ!!」
ドキーン!!
突然何を言い出すの!!
「私のことを気遣って??」
そう、ライオンは炎に傷つく私を見て、温存して置かなければならない『獄炎 - ファイヤーブレス』を使ってしまったというのだ。
その気遣いにキュンとしてしまう。
普段横暴なのに、いきなりサラダを取り分けてくれた時みたいにキュンとしてしまう。
そう思うのは私だけかもしれないけど。
はっ、これは恋に落ちる瞬間!!
これが人が恋に落ちる瞬間!!
私はヤギだった。
これがヤギが恋に落ちる瞬間!!
「というのは、ウソだ」
「熱かったからだな。ヒョウの炎が」
とライオンが言った。
「ウソかいっ!!」
ウソはやめて!
ウソはダメ、絶対!
ウソは禁じ手よ!!!
「私の『ドキーン』の無駄遣いはほんとやめて、お願いだから」
と私は疲れ果てて、最後の抗議をライオンにする。
「君たちは・・・なんなのいったい?」
本日二回目の妖精くんの疑問頂きました。
「通りすがりのキマイラです。」
私が代表して答えてみた。おしゃべりの中で。
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