転生したらヤギでした!キマイラの!
なかの
転生編
第一話『転生したらヤギでした』
「のおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」
私は自分の姿をみて叫んでいた。
私は女子高生の佐々木奈々子!
・・・だったの五分前までは。
そう、転生したらヤギだったのだ。
しかもキマイラの。
キマイラって知ってる?
ヤギの頭とライオンの頭とヤギの胴体と尻尾がヘビのモンスター。
私はお兄ちゃんがやってたゲームで見たからたまたま知ってたの。
そう、私は今はキマイラ。
だからとなりにライオンがいる。
となりっていうか、上??
よくわかんないけど、くっついてるの!
ライオンが!
「ヤギさんさぁ、ちょっとうるさいんだけど」
と、首に手を当てて気だるく言いそうなセリフをいっているこの人。
声とセリフだけ聞くとイケメンにみえるこの人。
ライオンだから!!
「まぁまぁまぁ、ヤギっちにライオンっち、仲良くやろうよ!こうなっちゃったのもなにかの縁だしさ!!」
このマイルドイケメン、つまり要領のいい、空気読める系イケメンっぽいセリフをいってるこの人。もちろんヘビだから、私の尻尾だから!!
「どうしてこうなった!!」
と私は少し前を思い出す。
そう、私は、佐々木奈々子。
恋に恋する高校生、今日も憧れの先輩に話しかけられないかな!と思いながら登校する、背景に花びらが舞っちゃうような、高校生だったの!
5分前までは!!
今はヤギ。間違いなくヤギ、紛うことなくヤギ。
紙をパクパク食べちゃうヤギ。
メタルバンドの儀式に使われるヤギです!
さっきまで女子高生だったのに。ヤギ!
そんな話ある??
この世のすべてが私達のためにあると錯覚できる
あの伝説のキラキラした三年間を謳歌できる女子高生だったのに!!
今はヤギ。
しかも背中からライオン生えてるしね。
そして尻尾はヘビね。
と感慨にふけっていると、とあることに気がついた。
そういえば、目の前に、なんか狼がいるんですけど・・・。
ヤギって、おいしくいただかれちゃうのでは・・・。
「とりあえず逃げよう!!」
私は口に出す。
人って、口に出すと整理がつくことって一杯あるからね。
たとえヤギだったとしてもね!
「ゆっくり、こっそり、そーっと、逃げるのよ、菜々子!」
と自分に言い聞かせるように、そろーり、と歩みを進める。
「グルルルルルゥゥゥウ」
といいながら走りだす狼。
「ぎゃー!!みつかったー!!」
猛ダッシュする私、女子高生の時は走るの苦手だったけど
ヤギだとどうなのかしら?と思いつつ走る!走る!走る!!
あ!速い気がする!!
けど狼の方が速かった。
ヤギってそんなもんよね?
狼が、いい感じに追いついてきていた。
ところで、思うんだけど、なんでキマイラの足担当ってヤギなの??
ライオンの方が速くない??
なんでわざわざ遅い方が採用されてるの!!
と走っている途中で私は、はたと気がついて。足を止めた。
「キマイラって、そういえば、かなり強くない?」
そう、戦えばよかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます