銀河のウィケッドブラザーズ+1
佐々木さざめき
プロローグ
――夢を見た。
外傷パッチを身体中に貼り付けている人が床に、廊下にあふれ、泣きながら、励まし合いながら、もう目を覚まさぬ人たちを見送り、疲れ果て、悲しみに暮れ、無理に笑い、また絶望し、希望に奥歯を噛みしめる大人たち。
僕は一番大事な人を捜し歩いてさ迷って、その時初めて外に出た。
ブルーのグラデーションが空を覆い、雲高く、風はさわやかに少しだけひんやりとして、屋上から見渡すと濃緑の絨毯が続き、地平の先に力強い山脈が連なっていた。
僕たちがこれから新しい生活を始める未開の豊かな大地。冒険の待つ約束の土地。
鳥の甲高い声が聞こえる。
気づいたときには世界の全てが真っ赤に染まっていた。
僕はその時、ようやく声をあげて号泣した。
■
――とっくに忘れていたはずの記憶だった。
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