He gat up,and strated stories.
「ハク、ハク!」
女の呼びかけにより男は目を覚ますと背をかけていた椅子から背を離す。
横には先程、肩を揺すって彼を起こしていた女が立っている。
女はスーツ姿で、身長は170ぐらい、ショートヘアーで細すぎもせず、太すぎもせずという容姿。モデルと言われても誰も疑わないだろう。
彼女の名は九龍 怜奈。
「ハク、そろそろ移動の時間ですよ。」
怜奈は手元に持っている手帳を確認して予定を伝える。
「移動は車かい?」
男はあくびを交えながら問う。
「はい、車ですよ。」
怜奈は手帳をしまいながら応答する。
「ふぁぁあ。行くか。」
椅子から起き上がり、寝ていたので乱れているスーツを正す。
男の名は黒木 白夜。
整った顔立ちに、190近い高身長、さっぱりとした髪型で、こちらもモデルと言われても気づかない容姿だ。
玲奈にはハクと呼ばれている。
「今から何処に行くの?」
最上階から降りるエレベーターのなかで怜奈に聞く。
白夜は先程までの寝ていた姿のが嘘のような地面と垂直に立っている。
「今日は神聖日本帝国元首との会合でしょ。忘れないでよ。昨日言ったはずでしょ。」
腕を組み壁に寄りかかっている。怜奈はやれやれといった感じに首をふりながら答える。
「どっち?おばあちゃんの方?それとも息子の方?俺、息子の方苦手なんだよ。」
白夜は少し肩を落とし、ため息をつく。
「大丈夫よ。今日の会合相手は永子様よ。またいつもみたいに井戸端会議して終わりでしょ。」
「あぁいう人との繋がりが大事なんだよ。」
「分かってるわよ。」
チーン。
エレベーターのドアが開く。
エントランスホールには受付といくつかの椅子や自販機が置いてある。豪華な造りなどではなく必要最低限の物が置いてある。
エントランスホールを抜けて外に出る。目の前の大通りには黒塗りで左ハンドルの外国車が停まってる。
「はい、早く乗って。」
玲奈が後ろのドアを開けながら催促する。
そのまま白夜は後部座席に乗り込む。
ドアを閉めると、運転席に怜奈が座る。
エンジンをかけ、ギアをいれ、車を発進させる。
「ふぁあ、俺はもう一回寝るよ。おやすみなさーい。」
「ハク!寝るのはいいけど、寝る前にそこの資料には目を通して置いてね。」
白夜の座った後部座席の反対側には山積みになっているファイルの数々。
「へーい。」
資料を手に取り、次々にページをめくっていく。
ふと、白夜のめくる手が止まる。
「え、あの佐々木のおっちゃん死んじゃったの!」
白夜の手にあるファイルのページには新聞の切り抜きが貼ってあり見出しには『復興の立役者 佐々木 真司 死去。』と印刷されている。
「昨日の夜中に息を引き取ったらしいわ。病気となってるけど病名までは書いてなかったわ。」
「佐々木のおっちゃんと飲む酒は楽しかったなー。」
白夜はそのままファイルを閉じると、山積みの資料を下ろし横になる。
「気分が萎えた寝る。」
「ハクは寝たいだけでしょ。全く。」
前部座席からミラー越しに白夜を軽く睨みながら注目する。
「…」
白夜はねてしまったようだ。
その唇からは力強く噛んだような傷があり、血が出ていた。
怜奈は何も言葉をかけず車を進める。
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