第23話 二章 ひな鳥
マリアンヌは骨折でなにひとつ自分のことをすることができなかった。
その分、ラファエルが仕事をこなしながら彼女の面倒をみた。
食事から着替え、排泄物の処理まで彼女は泣いて嫌がったがラファエルは躊躇せずにひとつひとつを丹念にこなした。
母の世話もこうして自分で出来れば良いのにとラファエルは思った。
巴里が療養地と同じくらい空気がきれいなら良いのに、もしくは療養地にもこんなサーカスがあれば働きながら通えるかもしれないのに。
せめて。
代わりとは言わないがマリアンヌの世話はきっちりとこなそうとラファエルは考えていた。
そのうちに羞恥心も薄れたのか、信頼関係も生まれて、マリアンヌもすっかりラファエルを頼りにするようになった。
一ヶ月ほどでマリアンヌは歩けるほどには回復したが、ラファエルが作業を終えて食事を届けにやってくるときなど、親鳥を待ちわびる雛のように嬉々として甘えてくる。
元気になっているようで、ラファエルも安心する。
だが、すべてが順風満帆な日々、というわけにはいかなった。
その日、給料の代わりに母の手紙を受け取ったラファエルは沈んだ表情で倉庫に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます