第11話「結ばれた!」
ジュリアは俺へ、切ない眼差しを向けて来る。
自分の気持ちの変化を俺に打ち明けて、素直になっているようだ。
「ねぇ……ま、また会えた時って……トールは明日、この村を旅立つの?」
「いや明日とか、すぐじゃあないけど……いずれは、な」
「……い、嫌! だって、もう二度と会えないかもしれないじゃない」
ジュリアはひしっと俺にしがみついた。
彼女の身体が熱い。
火照っている。
可愛い肌着姿の女の子に抱きつかれるなんて、俺には初めての経験。
だから、少し……いや、大いに慌てる。
「トール! あたしね、ゴブに追われて木に登った時、もう駄目だと思った。……奴等ったら執念深くて決して獲物を諦めないから!」
「…………」
「あんたが現れてゴブを倒した時は……吃驚したけど……でも奴らに食べられる代わりに結局、あんたに『食べられる』……乱暴されると思ったんだ……」
そう……だよなぁ……
良く考えて、俺が女の子だったらそう思うもの……
「最初は本当に怖かった……」
ぽつりと呟くジュリア。
俺は怯える彼女を、そっと抱き締めた。
「でもあんたがとっても良い人だって分かって……安心したの」
俺に抱き締められたジュリアはそう言うと、大きな溜息をついた。
それは安堵の気持ちを表したものであった。
「あたし……あたし……トールと色々な話をしながら村へ帰る時……凄くホッとした……そして命を助けて貰って嬉しかった! 男の人と、心の底から笑いながら話すのって、初めて楽しいって思ったの」
「ジュリア……」
「父さんと母さんが死んで今迄ひとりでやって来たけど……助けてくれる人が居た。もうひとりぼっちじゃないって思ったの……でも……トールが居なくなると……あたし、またひとりになっちゃう、とっても……寂しくなる」
いつの間にか、ジュリアは泣いていた。
俺に酷い事を言われた時みたいに、目を真っ赤にして泣いていた。
昼間の元気なジュリアはどこにも居なかった。
暫し泣いた後、ジュリアは真っ直ぐに俺を見る。
この眼差しは……何かを決意した強いものだ。
「トール……あたしを離さないで欲しいの。ももも、もし良かったら……だだだ、抱いて! 私を……こここ、恋人にして!」
ああ、何と……ジュリアは俺に告白してくれた。
会ったばかりの俺に、思いを告げてくれた。
ジュリア、お前って健気だなぁ……そして可愛いよ。
覚悟を決めた女の子に、ここまで言わせて尻込みしていたら男の恥だろう。
「ああ、……こ、こちらこそ、ぜ、ぜひ俺の彼女になってくれよ」
このような事に不慣れな俺は何とかそう言うと、必死で訴えるジュリアを再び抱き締めた。
今日ジュリアを運んで初めて知ったが、やはり女の子の身体は柔らかい。
彼女の肌はすべすべしていて、張りも申し分なかった。
俺はその先をどうして良いか分からず、焦ってジュリアの胸に手を伸ばす。
ジュリアに胸が無いのは分かってはいるが、何せ俺は○○○○星人だから!
ああ、でも!
なんて柔らかいんだぁ!
微乳でも感動したぁ!
しかし、ジュリアは胸へ伸ばした俺の手を払い除ける。
どうやら怒らせてしまったようだ。
「トール! いきなり胸は反則だよぉ!」
「わ、悪い、間違ったか?」
ジュリア、御免な……
でもはっきり言って俺だって『あれ』に関しては君と同じ未経験……童貞だ。
「こういう時は……ま、まずキスからしてよぉ……そ、それも……そ、そっと、や、優しくだよ」
キ、キスから?
そ、そ、そうか!
それは失礼した!
そういえば、前世でもこういうのっていわゆる『A』から始まる順番だったしな。
俺はTVドラマで見たシーンを思い出して不器用にジュリアに口付けした。
おお、唇も柔らかい。
それに女の子の唇って、何て美味しいんだ!
しかし、ここはキスする前に甘い言葉を掛けるべきだったようだ。
俺は全くの経験不足なので甘い雰囲気で優しくキスをするイケメン俳優のようにはいかなかった。
「もう! トールって、ムード無いなぁ……あたしの事好きとか、愛しているとか言わないの?」
「ご、御免!」
「な、何度も、謝らないでよ!」
暫くして俺は服を脱いでジュリアにそっと覆い被さると……
ジュリアもだんだん息が荒くなって来て……
その夜、何度かの失敗の末に俺達は
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
大空亭午前5時……
俺は、ハッと目が覚める。
傍らにはジュリアが軽い寝息を立てて眠っており、目には涙の跡がくっきりと残っていた。
俺と同様にあっちの経験がない彼女には、相当な『痛み』があったようだ。
昨夜、ジュリアとした行為は夢の中でやったようで俺には全く現実感がなかった。
でも……ジュリアはちゃんと居る。
これは夢でも幻でもない。
そう!
昨夜、俺は……生まれて初めて女の子と結ばれたのだ。
ふたりの人間が、ひとつになる。
何と言うか、素晴らしい経験だった。
こうなったきっかけは微妙な所だが、俺としては真面目に愛をこめてジュリアを抱いたつもりだから、やはり情が湧く。
そんなジュリアが急に愛しくなった俺はとりとめもなく彼女の綺麗な栗色の髪を梳き始めた。
「う……あ、痛い……」
まだ「痛がる」ジュリアに俺はとても優しくしたくなる。
「おお、起きたか。お早う……まだ少し痛いか?」
「お早う……トール……あたし恥ずかしいよ。声……凄く大きかったし……」
「いや、ジュリア、そんなことない。可愛かったぞ……そして、ありがとう」
俺は恥ずかしそうに俯くジュリアがもっともっと愛おしくなり、そっと彼女を抱き締めていたのであった。
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