神斬髪切り屋(かみきりや)序の巻 白朱 2.覚醒
神 斬
髪 切 り屋
序の巻 白朱
2.覚醒
白狐さんと俺の黒髪と戦うための鍛錬がはじまった。
白狐
「朱右よ、そなた、右目のみ、黒髪が見えると言っておったが、相違ないか?」
朱右
「そうだよ」
白狐
「ならば、左目には、どのように見えておるのじゃ?」
朱右
「たぶん、普通の人と同じように見えてると思うよ。右目をつむって、左目だけで見ると、黒髪は全く見えないよ」
白狐
「なるほどあいわかった」
朱右
「で黒髪と、どうやって戦えばよいの?」
白狐
「まー、あわてるでない。これから、我が話す事をよく聞くのじゃ、少し長くなるがよいかのぉ?」
朱右
「うん」
白狐
「まず、朱右そなたの右目になぜ黒髪が見えるかの説明からするぞ」
白狐
「何故、人の目には景色が見えるのか?それは、人の目が光を感じておるからじゃ」
白狐
「そして、その光という物は波動と粒子があわさってできておる」
白狐「ゆえに、光は、波でもあり粒子でもあると言える」
白狐
「童(わらべ)のそなたには、わかりにくい話かも知れぬが、これを光量子(こうりょうし)と呼ぶ」
白狐
「波である光波と量子である光子とでできているわけじゃな」
白狐
「そして普通の人間は、その光波の揺らぎの違いを目で感じ、画像として、脳が処理しておるのじゃ」
白狐
「わかりやすく説明すると光波の揺らぎとは、そなたたち人間が、色と呼んでいる物のことじゃ」
白狐
「そなたも、見たことがあると思うが、虹の色は何色に見えておる?」
朱右
「学校で習ったけど、七色だったかな?」
白狐
「そうじゃ、赤(童子)、橙(来国長)、黄(ソハヤ)、碧(翡翠)、青(富士)、藍(姫鶴)、紫(御魂)の七色じゃ」
白狐
「その、人の目に見える七つの光が形を成し景色として見えておるのじゃ」
白狐
「そして、光のもう一つの構成物、光子は普通の人の目には見えぬ物なじゃ」
白狐
「ただしのぉ、人間の中にも、この光子の形や色が見える者がおっての」
白狐
「そなたの、知り合いおらぬか、何も見えない所で何かいるとか言う者が」
白狐
「朱右、特にそなたの右目の場合、我の姿、形、色を話から察するに完全に見えておるようじゃが、画像として完全に見えておるということは、そなたの光子を見る能力が人並み外れて、強いということなのじゃ」
白狐
「そなたのように、我の姿を完全に画像として、とらえられる人間は極稀(ごくまれ)での、我がこの世に存在している長き時においても、数名いたのみじゃ、我と同じ、神を除いてはのぉ」
白狐
「そして、この光子の色や形が、そなたたち、人間が言う神や妖怪などの超常の物の姿ということになる」
白狐
「だから、そなたには、黒髪がみえるのじゃな」
白狐
「基本的に、神も、黒髪も、妖怪や祟りも構成している物は同じ物と言える」
白狐
「そして、その、光子の色が、すべての万物の本質をあらわしておる」
朱右
「白狐さん、大体の話はわかったよ」
朱右
「でも最後の万物の本質とか言う話が、いまいちよくわからないよ」
白狐
「童のそなたに、わかりやすく説明すれば、白や先ほど説明した、七つに近い色になれば、良き心の物であり、黒なれば悪き心の物となる」
朱右
「なるほど、黒色に見える、黒髪は悪物ってことになるんだね」
朱右
「それで、白色に見える、白狐さんは、良い物、すなわち正義の味方ってわけなんだね」
白狐
「朱右、そなたの言っておる、正義の味方とやらの意味は、我にはなんのことがわからぬが・・・・」
朱右
「白狐さん、能面騎馬武者[この世界のテレビのヒーロー]知らないの、正義の味方で、悪物をやっつけて、町の平和をまもってくれるんだよ」
白狐
「すまぬ、朱右、そなたの言うことがさっぱり解からぬ」
朱右
「僕、てっきり、白狐さんはもっと意地悪なのかと思ってたよ。話かたとか、少し偉そうだし。」
白狐
「朱右、何を言うか、我ほど良い神もなかなかいるものではないぞ」
朱右
(白狐さん自分で言っちゃったよ)
白狐
(これだから、小僧は苦手じゃ)
白狐
「町の人々のために、黒髪と戦おうとしてる、我が悪い神のわけがなかろうて」
朱右
「で、黒髪と、どうやって戦うの?」
白狐
「おおっ、そうであった、朱右、黒髪といかに戦うか説明してもよいかの」
白狐
(こやつの、言動に振り回されておるのぉ)
朱右
「おねがいします」
白狐
「朱右では聞くが、敵が襲ってきた時に、戦う武器は何を使う?」
朱右
「強い武器のほうがよいんだよね?」
白狐
「そうじゃ」
朱右
「ならガンかなぁ」
白狐
「ガ・・・ガンじゃと、それはどんな武器なのじゃ」
朱右
「えーとねぇ、引き金を引くと、中の火薬が爆発して弾丸がとんでいって敵を撃つ武器だよ」
白狐
「なるほど、鉄砲のことじゃな、現代では鉄砲をガンと呼んでるのじゃな(汗)」
朱右
「白狐さんは、物知りなのにガンもしらないかと思ったよ」
白狐
「朱右、ガンが強いのは解かったが、ほれもっと強そうなのがあるじゃろう」
朱右
「うーん(悩)ガンより強そうなものってあるかなぁ」
朱右
「ミサイル、あっ!もっと強いのがある巨大ロボ!!」
白狐
「なんじゃと(驚)ミサイル・巨大ロボ」
白狐
「我にはそなたが何を言っておるのか、皆目見当がつかぬのじゃが・・・」
朱右
「えー、白狐さん、ミサイルや巨大ロボしらないの?」
白狐
「朱右よ、そなたの言ってることがまるでわかららないので、我が、説明するぞ」
朱右
「じゃあ、最初からそうしてくれたらよかったのに」
白狐
(これだから、童は苦手なのじゃ)
白狐
「我が言いたかった武器というのは刀のことじゃ」
朱右
「刀って剣のことだよね、稲妻の剣とか勇者の剣とかだよね。それとも、エクスかリバー、かっこいいよねぇー剣、ゲームでもよくでてくるやつでしょ」
朱右
「そういや、能面騎馬武者も、御魂(ミタマ)ブレイドって剣使ってたなぁ」
白狐
「朱右、そなたが思っておる刀がどのような物かは解からぬが、我が言っておる刀というのは、こういう物じゃ」
白狐の左手から、白色の光をおびた実体のない霊力でできた
鉛筆ほどの刀身の刀が握られていた
朱右
「白狐さん、刀って、こんなに小さいの?僕もっと大きな刀を想像していたよ」
白狐
「これは、わざと小さく出しておるのじゃ」
白狐
「黒髪と戦う時のために、少しでも、力を使いたくないからのぉ」
白狐
「では、今から、刀の作りだしかたを教えるぞ。まず、心の中に、刀の画像(イメージ)を思いうかべ、そして、霊力すなわち、そなたの魂(みたま)の光子の力を使って、それを具現化させるのじゃ。朱右よやってみよ」
朱右
「刀の形の画像を思いうかべるんだね、あれ何もでないよ」
白狐
「でなくてあたりまえじゃそなたの左目は黒髪が見えないのじゃろ。まず、左目だけをつぶり右目に、全神経を集中して、もう一度、刀の画像を思いうかべるじゃ」
朱右
「わかった、やってみる」
朱右の右目がうっすらと朱色の光をはなち輝いている
そして、朱右の右手には、爪楊枝ほどの朱色の光を
おびた実体のない霊力でできた刀身の刀が握られていた。
朱右
「ええっ!ちっちゃ、こんなちいさいのしかでないの」
白狐
「そうじゃ、それが、今のそなたの力じゃ」
(とはいえ、いきなり刀がだせるとは、こやつ本当はすごい者なのかも)
白狐
「しかし、朱右よ落ち込むでない、いきなり刀が、だせただけでも、すごい事なのじゃぞ」
白狐
「刀の大きさが、そなたの魂(みたま)の力の大きさに、つながっておっての、小さく見えるということは、そなたの魂の力が小さいということじゃな」
白狐
「ただし、今は小さいからといって、そなたの、魂の力が弱いというわけではなくての。鍛錬することによって、大きくなるとは思うのじゃ、最大近い、魂の力なれば、そなたの背丈の倍ぐらいの刀になると思うぞ」
白狐
「魂の器の大きさは生まれもって決まっておっての。器が大きいからといって鍛錬しなければ、小さき器でも、最大まで鍛錬した者より弱くなるのじゃ」
白狐
「そなたの、魂の器がどこまでの大きさなのかはわからぬが」
朱右
「だいたい、理屈はわかったよ白狐さん」
白狐
「では、我が、鍛錬するとどうなるか。今だけ、そなたの器に我の魂(みたま)の力をいれてみせるぞ」
白狐の呪
「キオ、ナカタサカメハソイクワヒフナンスメシヒキマ、ハソイクコノスエ」
朱右
「白狐さんが、何を話したかわからないけど僕の刀が鉛筆ぐらいの大きさになったよ!!」
白狐
「我が、発した、言霊(ことだま)は呪といっての魂の力を使うための、呪文みたいなものじゃ」
白狐
「その呪の力をつかって、そなたの器に我の魂の力をそそいでみせたのじゃ」
朱右
「すごい、白狐さん呪文もつかえるんだぁ、尊敬しちゃうよーやっぱり、すごい神様だったんだねぇ」
白狐
(さっきは、少し意地悪そうと、言っておったのにげんきんな奴じゃ)
白狐
「これより、黒髪が復活する日まで、そなた自身の力で魂の力を鍛え、刀をできるだけ大きくするのじゃ」
白狐
「朱右よ時間は限られておるぞ。我は、そなたが、魂の力を鍛える間に黒髪と戦う時の、策でも練るかのぉ」
朱右
「白狐さん、僕、刀を大きくだせるように魂の力を鍛えるよ」
神 斬
髪 切 り屋 序の巻 白朱 2覚醒 完
続
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