第42話 黒き疾風、白き旋風
「アリス・テスラ、こやつらをやっておしまい!」
魔女ベアトリスの使い魔は、最強の魔導師アリス・テスラを呼び寄せる。
「はい、クリスティーナ様の仰せのままに」
魔導師アリス・テスラは空中で胸に手を当ててクリスティーナに一礼すると、真田丸の正面に躍り出た。
黒いフード、マント姿で胸に銀色の十字架が輝いている。
「ほう。
真田幸村は聖銃<種子島>の銃撃をやめてアリス・テスラに呼びかけた。
「お前の相手は俺だ」
夜桜が叫ぶ。
漆黒の機体<ニンジャハインド
「いつかの小僧か」
魔導師アリス・テスラは無言で六本の針金のように長い銀色の指でプラズマを発生させる。
「幸村様、ここはお任せを」
「おう。夜桜、そいつは任せた!」
幸村は夜桜の気迫に応える。
魔導師アリス・テスラの無数のプラズマ光球が夜桜の機体を襲う。
夜桜の機体が分身する。
プラズマ光球は夜桜をすり抜けている。
<真田影流>の秘伝のひとつ、<
「小僧、やるようになったな」
アリス・テスラは少し感心している。
「どうも。では、これはどうかな!」
夜桜はアリス・テスラに肉薄して、聖刀<
しかし、刀がすり抜けてしまう。
何の手応えもない。
「なんだ」
夜桜は方向感覚を失って危うく大地に激突しそうになり、何とか着陸する。
そこへアリス・テスラのプラズマが集中する。
大地がプラズマで吹き飛ぶ。
夜桜は一瞬で別の場所に現れた。
またも<
「やはり、時空を操る能力か?」
夜桜は魔導師アリス・テスラの力を見抜きつつあった。
以前、敵の空中要塞<ブラックナイト>で戦った時も一瞬で外へ飛ばされてしまったが、そうだとしたら非常に厄介な能力である。
「お前も妙な技を使うな?」
アリス・テスラも探りを入れてくる。
「………」
「まあ、いい。真田もろとも、さっさと死んでもらおうか」
魔導師アリス・テスラの左手の六本指の上でプラズマが巨大化していく。
どうやら<真田丸>もろとも消してしまうつもりらしい。
「それはまずいな」
幸村は少し困った表情をしたが、にやりと破顔する。
「死ね」
アリス・テスラは真田丸に向かって巨大なプラズマを投げつけた。
真田丸の周囲が凄まじい爆発音に包まれ、土煙が上がる。
視界がしばらくゼロになる。
そして、霧が晴れるようにそれが消滅した時、真田丸はなおも健在だった。
「……なんだと!?」
魔導師アリス・テスラは驚愕している。
真田丸の上空に無数の光の球のようなものが浮遊している。
それが真田丸をプラズマから守ったようだ。
「三成、いつもすまんな」
幸村が盟友の名を呼んだ。
石田三成にとっても幸村は無二の親友であった。
「いつものことですから」
石田三成は白色の愛機<ホワイトナイト ドローンマスター>を駆っている。
その名の通り白い騎士のような<ボトムストライカー>の背中には天使のような二枚の翼があった。
光の球が<ホワイトナイト>の周囲に幾重にも円陣を巡らせている。
「幸村さん、一掃しますか?」
三成はそう言いながら、魔導師アリス・テスラに視線を移す。
「そうだな。やってしまうか」
幸村は聖銃<種子島>を構え直す。
三成は
「殲滅旗技<
突如、夜桜や信長軍団の兵たちの手に聖銃<種子島>が現れた。
殲滅旗技<
物資の調達能力に長けた石田三成らしい能力だが、その殲滅旗技は文字通り自軍能力を数十倍、数百倍に拡大することができた。
「皆の者、一斉射撃せよ! 敵を一気に打ち払え!」
真田幸村の聖銃<種子島>が火を噴くのを合図に、信長軍団の兵たちが聖銃<
関ケ原に豪砲が響き渡り、家康軍団の先鋒が総崩れになった。
魔導師アリス・テスラ、黒騎士も爆煙の中に姿を消していった。
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