第13話 剣の民 織田信長
(信長公は≪
メガネ君は衝撃を受けた。
(そうじゃ、福井県丹生郡越前町|織田(おた)に、越前国二宮『織田
口をぽかんと開けたメガネ君を尻目に晴明の話は続く。
(そのルーツは阿波忌部氏と言われておる。
【座ケ岳の社】
劔神社の古伝によれば、第7代孝霊天皇の御代に織田郷の住民が、伊部郷の座ヶ岳の峰に素盞鳴尊の御神霊をお祀りしたということになっている。
その後、第11代垂仁天皇の御代に伊部の臣という人が、鳥取川上宮という社で作られた御劔をもって素盞鳴尊の御神体として祀り、劔大神と称することになったと伝えられている。
神功皇后の御代に忍熊王(仲哀天皇第二皇子)は、近江の国から越前の国に来られ、越前海岸やこのあたり一帯に勢力を持つ賊徒を征伐された。戦いは非常に苦戦におちいったが、座ケ岳に祀られている劔大神より御劔を授けられ、その御神助によって遂に賊徒を平定することができた。
住民安定の地を定めることができたので、忍熊王は靱大明神の御神徳に感謝し、座ヶ岳から劔大神を織田の現在地に移し祀られたと伝えられている。
王がなくなられてから後、神功皇后摂政13年誉田別尊は、武内宿称を織田に遣わされ、忍熊王を劔大神に合祀せしめられたと劔神杜社記に記されている。
引用、終わりじゃ)
(長いです。晴明さま、聞いてても疲れました)
メガネ君の頭の中はちょっと混乱気味である。
(この「鳥取川上宮という社で作られた御劔」の「鳥取川上宮」というのは、一般的には大阪府阪南市の鳥取、和泉鳥取と言われているが、そのルーツは備前国赤坂郡鳥取郷〔岡山県赤磐市赤坂町〕にある
スサノオ命がヤマタノオロチを退治した剣のことを
それとこの第7代孝霊天皇のいうのは吉備津彦命の父親で、古事記や吉備津神社の伝承では吉備(岡山県)に鬼神の
吉備津彦命は桃太郎のモデルともいわれ、このエピソードが元になって昔話の「桃太郎の鬼退治」ができたのじゃ。鳥取川の鳥取は
(ということはカオルちゃんの持ってる
突然、無言だった神沢優が話に割って入ってきた。
(そのカオルちゃんって誰なんですか?)
メガネ君は訳が分からず、思わず質問していた。
(彼女も≪
(わしの遠い子孫というか、弟子のようなものじゃな。吉備は陰陽道の開祖のひとり吉備真備公もいたし、師匠の賀茂忠行もわしも若い頃は吉備におったしな。≪
晴明も説明を加える。
メガネ君のスマホに「常世封じ道術士 風守カオル」のURLが神沢優からメールで送られてきた。
(そうなんですか。この時代ではネット接続できないから無理ですよ………。あれ繋がったよ。なんでだ?)
メガネ君はスマホで小説を興味深げに読み始めた。
機動装甲兵装≪ボトムストライカー≫を自動操縦に切り替える。
現在、メガネ君はネットゲーの「刀剣ロボットバトルパラダイス」の一般兵用の機動装甲兵装≪ボトムストライカー≫を駆って10機ばかりの小隊を率いて「
その背後には、神沢優の式鬼≪
そして、その中心には≪零式妄想式超光速120Dプリンター≫を装備した、式鬼≪
当初、指揮官機である式鬼≪
安東要と月読波奈はとても戦闘向けではないということで、精鋭である杉田玄白カルテットの式鬼≪
「
天正10年(1582年)6月13日(西暦7月2日)の山崎の戦いで、豊臣秀吉に敗れた明智光秀は自分の居城である坂本城を目指している途中、この場所で落ち武者狩りにあって命を落としたとされている。
山崎は大阪府三島郡島本町山崎、京都府乙訓郡大山崎町あたりと言われていて、確かにどちらにしても、坂本城を目指す直線ルート上にある。
これには異説もあって、信長近臣で近くの小栗栖城の飯田一党に討たれたと現地の記念碑にはあるそうです。
メガネ君が風守カオルの小説を読み終えないうちに、明智光秀救出部隊は「
天正10年(1582年)6月13日の夜中頃のことである。
迷宮のタイムトラベル機能により6月2日から数日の時間が飛んでいる。
何ともご都合主義の安倍晴明の陰陽術であるが、東日本を救うためにはこれぐらいのことは許されると思う。
でも、メガネ君が以前、読んだ「戦国機動隊」という伝奇SF歴史小説によれば、戦国時代では生身だから電脳ハックもできないし、ロボット戦車も燃料切れで苦戦するという展開があった。
確かに、遺体が見つかってない信長が生きているのはぎりぎりセーフだとしても、死ぬはずの明智光秀を助けてしまったら、タイムトラベル小説によく出てくる≪歴史の修正力≫とやらが働かないとも限らない。
そんな余計な心配をしてしまうメガネ君であったが、そろそろ光秀が現れる頃である。
それともうひとつ心配なのは、織田信長が「秀吉と家康も連れて行こう!影武者立てれば問題ない!」とか言い出すんじゃないかということである。
そんなに歴史を変えてしまっては、如何に安倍晴明の陰陽術でも何ともできないのではないかと思うのだ。
(メガネ君、それはいい考えじゃな。採用するぞ)
という信長公の声が聴こえたように思ったが、幻聴だということにしておこう。
ははは、もう笑うしかないメガネ君であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます