美しい滝
46
「まさに
そのとおりだよ
ニェンくん
馬脚舟は
飛行舟として
用いることが
できるんだよ
ニェンくん 」
実は
ダラギャも
ニェンのレイリョクを使って空を飛ぶことを考えていた
ニェンは
いろいろな物体を浮かせて
飛ばすことができたから
筏を組み上げ
そこにニェンが乗って
レイリョクで
筏ごと持ち上げ
筏に乗ったニェンが飛んで移動できたなら
そしてその筏に自分自身も乗って空中を移動できたなら
盗賊としては最強の武器になり得たのであるが…
何度
実験しても失敗に終わるのである
人間が乗るという行為が物体に及ぼす影響は物理的な作用以外の不可思議な作用を物体と人間の両方に与えてしまうのだろう…
とダラギャは理解していた
「ダラギャくん
正解だよ
物体と人間の相互作用は
物凄く
複雑なんだよ 」
47
「馬脚舟は内部に乗り込む者のレイリョクに対してだけ敏感に反応するように作られている
なぜって
馬脚舟を敵のレイリョク使いに馬脚舟の外から操られては危険だからね
ニェンくんほどのレイリョクがあれば
飛行舟として操縦できるまで それほど長く訓練期間を要する
ことはない 」
ダラギャは
ニェンの様子をうかがう
ニェンの頬が仄かに赤い
すでにしてニェンは想像のなかで馬脚舟を空高く自由に飛行させているのだろう
タクトフービは
「馬脚舟で
きみたちは盗賊作業にせいをだすだろうか?
これから先
いろんな疑問が
きみたち飛刀団に湧いてくるだろう
その疑問を馬脚舟にぶつけてみたら
馬脚舟が答えてくれる
かもしれないよ 」
またもや謎の言葉と微笑みを美しく浮かべるタクトフービ
48
「さて
もう時間がない 」
タクトフービの雰囲気が
がらりと変わった
晴れ渡った空が
急に雨雲に覆われたようである
巨大な嵐が迫っているに違いない
「ダラギャとニェンには
心から御詫び申し上げる
きみたちを
さらったのは私なのだ…
きみたちを故郷である竜Q国から
誘拐して
この辺鄙な地帯に連れ去って
置き去りにしたのは私なのだよ
ほんとうに
すまなかった 」
タクトフービは深々と頭を下げた
銀色の長い髪が地面に触れた
銀色の美しい滝のようである
ダラギャ ニェン 他の飛刀団
全員がタクトフービの言葉や行動についていけず
呆然としている
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます