馬
16
ヴェダが任務を放棄して逃走した事例など歴史上皆無である
ニェンは超重要指名手配犯となって追われ続けている
ニェンは気にしていない
ニェンはレイリョクの強化にしか興味がない
指名手配犯として追われ盗賊団として追われる日々はレイリョクを高める修行の日々でありニェンは大満足していた
ヴェダの修行では攻撃的なレイリョクは得られない
禁断のレイリョクをニェンは必要としていた
世界一のレイリョク使いになることだけをニェンは求め続けている
17
「馬が啼いているぞ!」
武術の達人ビドヨが叫んだ
「うるさいぞビドヨ
黙ってろ 」
ダラギャが抑えた声で叱りつける
「おまえは武術と盗賊稼業では落ち着いた静かな働きをするのに
それ以外の場面ではなんでそんなにスットンキョウ
なんだよ 」
だが確かにビドヨの指摘したとおり
馬に似た物体は啼いていた
ギギー ギョギー ギジジジジ ギギー
いやな啼き声である
だがあれは物体のはずだ物体が啼くわけがないのだ
ギギー ギギーギジジジジギョギーギョギーギギーギギー
嫌な音を発しながらのろのろと湖畔に近づく物体にダラギャは苛ついていた
「ミョール あの馬の首に投げ縄をかけろ 」
18
ミョールは盗賊団で最も小柄だが
投げ縄を得意としている
ミョールは余計な言葉を使わない
驚く程の俊敏さで近くの木の枝にかけ登った
僅か数回空中で投げ縄を回す
おもむろに投げ縄を馬に向かって投げた
するすると湖の上空を投げ縄が走る
水蛇のような動きで進み
やがてみごとに投げ縄は馬の首を捕らえた
ミョールは無表情で木から飛び降り縄を他の者に渡した
自分の作業はすでに終えたとの意思表示である
このあたりが
いかにもミョールらしいとダラギャは変に納得してしまった
「よし 用心しながら
ゆっくり縄を
引っ張るんだ 」
ダラギャは力自慢を10人ほど選んで縄を引くよう指示した
なにか不測の事態が予想されたが
馬に似た物体は拍子抜けするほどあっさりと陸に引き揚げられた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます