HELL Cat を探せ!? ~やらかしゴウンタッグと『悪器・反聖杯¿』~

 着信音ピロン


「ん? メッセージか」


 モモンガさん。少しの間、高跳びしてきますんで。ログインが不規則になりそうです。


「朱雀さんは論文の〆かなぁ?」


 たまに来る、定型のメッセージ文を前に物思いにふけるモモンガに、音改’が声を掛ける。


「モモンガやん、モモンガやん。聖杯って、あるやろ?」

「ええ、どっかのギルドが所持してるはずの、W杯アレですか? 確か、善属性の相手に対して、持ってると回復や復活に伴うバフが強化されるとか…。悪属性の相手に対してデバフが激しいとか」

「ソソ、アレある。それを真似てな、偽造しパチってみたんよw」

「ぇえっ! ど、どうなりました?」

「そ れ が なぁ…BANされんのは分かったんアルけど~

…弟オ~ト~オ~トぉ~、ジ~ックリ 話が あるんだけどぉ』 Σ(゚Д゚ υ)げっ!!」


 何かを言い掛けた音改’は、離れた場所から聞こえてきた声に振り返り、話を遮った。


『お、俺 、に 思い当たる節は ない!! 絶対に冤罪だぁ~‼️ 訴えてやるぅ~!!』

『お前の他に、誰が思い当たるのかが居ないか、確かめるためだ』

『((*ノ゚Д゚;うそ))、だ‼️ その( ̄ー+ ̄ニヤケがお)yは絶対に、確信してる顔じゃないか‼️』


 くる~りと恐る恐る振り返る音改’と、目が合った。


「別口でBANバ~ンされそうやって……じゃジャ、ソウイウコトナンヨ。ホナ、ε=(ノ;д;)ノバイナラ~w!!」

「そ、そういうことか? また怒らせるような代物に仕上がったみたいだな」

『ぎゃ ~‼️』


 モモンガは締められる某バードマンの断末魔の叫びを聞きながら、その音改’の余裕綽々な後ろ姿を見送る。



   ///   ///   ///



かつての昔、アンダーワールドアイテムとは成らず、ユーザーから非公式に亜神器デミゴッズと呼ばれたとある装備式消耗品joke goods。知る者ぞ知る隠喩、反聖杯=通称・W盃ワ~ルイcupのフレーバーテキストからの抜粋。


 Holy Grailホーリーグレイル=聖杯、それは神聖にして、新生る者の為にある。その効果エフェクトは健やかな生育と祝福のためのものとされる。

 聖杯のモデル。かのマグダラの地で執り行われたとされる最後Last晩餐dinnerに用いられた聖杯は、癒しと復活を意味するものとされる。

 過去にも存在する様々なモデルの杯も、聖杯をかたどる形で造られている。シーザーの聖杯 クレオパトラ七世 然り、シャンパーニュの聖杯 マリー・アントワネット 然り、玄宗皇帝の聖杯 楊貴妃 然り……マグダラの聖杯 マリア 然り。


 某大学教授による学術的考察が、長く長く続く……


 ~よって、これらの考察を以て、仮称・反聖杯を悪盃ラストグレイル=Lust Grailとする。



   ~延々と続く空白と、意図的に極細にまで細められたScroll barスクロールバー



 ~それは長く、奪い、奪われる、を繰り返される事となる。某領域BOSSの彷徨ワンダリングする遺留ドロップアイテム~



   ///   ///   ///



時代と世界は移り変わり


 デミウルゴスは困惑している。

 子供の素朴な疑問という名の難題に対してだ。その想定しうる事態とは、かけ離れた異なる齟齬が生じていた。思い通りには事態が運ばなかったことに、予想していた事態を遥かに超える騒動になるとは・・・全く想定していなかった。



 時を遡ると、


「デミ小父様。ヘルハウンドって、わんこ?」

「ぅ ん? …フム」


 パチリと指を鳴らすと、即座にSKILLによる十数頭のグレーター・ヘルハウンドとヘルハウンド、更にはこの世界に自生している小柄なレッサーヘルハウンドを召喚し、並べる。


「HOUNDは猟犬を指し示す。だから、ワンコといえば、ワンコで合っているよ」


 本日のリュートの遊び相手として呼び出されたヘルハウンド達は、やや困惑気味に指示に従い、リュートを嘗めてじゃれつく。


「じゃあ、ニャンコもいるよね!」


 子供にじゃれつくというよりも、襲われている様にしか見えないが、押し退け、撥ね飛ばしながら会話を続けるリュートと、それを嗤いながら眺めるデミウルゴス。


「はっはっはっ! HELL Cat’s性悪女か。探せば居るだろう。なぁ」


 デミウルゴスは悪い笑みを湛えながら、チラリと目配せで嫉妬の魔将を見やると、コクリと小さな頷きが返ってくる。

 正式には、ユグドラシルにヘルキャットなるモンスターのデータは存在しない。

 だが、思い馳せるだけでも、ナザリックに居る者のほぼ全員が該当するだろう事は、黙っておく。その方が面白いだろうから。


「このナザリックには沢山のHELL Cat’sがいたるところに潜んでいるのだから、探し出して悪父おじさんに報告しておくれ」

「わかった!」

「但し、先ずは私の課題をクリアしてからだがね」


 課題:ヘルハウンドを従える事


 ヘルハウンド達にじゃれつかれつつ、ナザリック第七層 煉獄は、異例の大捜索始点と化していた。その一大捜査網はヘルハウンド達を率いてナザリックを飛び出し、某決闘にて砂漠と化した砂場を、ヘルハウンド達が一心に掘り返し始めた時点で、被害は拡大の一途を辿ることとなったwww



   ・・・   ・・・   ・・・



 結果、様々なモデルの被害者ヘルキャット達が発見された。

 中には、一見関係ない者も???


見つけ出せたヘルキャット?

 にゃるてぃあ・blood golds血税   にゃんサー

 マオ(ΦαΦ)アィルにゃー   にゃーぼくサーかー

 るぷす炉利成ろりなカンマ =ょぅι゛ょ化   =炉利恵ステルシュウドウジョス=獣童女シュウドウジョ

 (ФωФ)に▲ゃ△ーべらる・にゃ( ・w・△ん▲)?だ   にゃスター

 手乗りサイズのエントマ・グリフィンドーリ・口りー夕   炉反転リバース¿

 そりゅにゃん・ヌコしろん =とろとろホワイトにゃんこ   ニャサシン

 CZ=wΔ=ダブルデルタ 通称・CZ(=・w〆だΔぶΔる=) =猫耳肉球尻尾換装アタッチメント   にゃンなー



   ・・・   ・・・   ・・・



 後の祭りの夜、リュートはお布団の中で眠そうな目を懸命に見開きながら、


「お母さんは、ヘルキャットだったの?」

「そうね、ある意味でお母さんがナザリックで一番のヘルキャット性悪女なのかもね」

「そっかぁ~!」


 ニッコリと笑い掛けるツアレに、楽しげなリュート。


「セバス様を誑かしちゃって、裏切り者にしてしまうところだったの」

「え~!?」


 思わぬ発言にビックリしつつも眠いZzzせいで微睡む。


「でもね、セバス様がアインズ様の絶対の指示を受け入れることで、私はセバス様と一緒になることもできたのよ」

「そかぁ~Zzz」


 結果を聞き安心したのか、そのまま眠りに落ちてしまったリュート。


「お休みなさい」


 そっとベッドサイドの明かりを消すと、微笑みを浮かべながら、セバスがその日一日の報告を待つ一室へ向かう。

 セバスは寝台の横に置かれた椅子に腰掛け、静かに本を読んでいる。

 ツアレはそっと、扉を締め切り。既に気が付いているだろう、セバスに声を掛ける。


「セバス様」

「どうしましたか? ツアレ」


 セバスは読んでいた本をパタリと閉じて、サイドテーブルに置いた。


「私、セバス様専門のHELL Catです、(ФωФ)に▲ゃ△ん


 おもむろにエプロンのポケットから取り出したのは、シャルティア愛蔵の呪われた一品▲ △。というなの猫耳△ ▲


「な、何を?」


 普段とは異なる様子のツアレに、幾分戸惑いを隠せないセバス。

 そんなセバスが見せた、僅かな隙を逃さずにケモ耳をつけると、セバスにしなだれ掛かる。


にゃ~ん△▲! セバス様ダ・ケ を誑かす悪いニャンコにゃん❤(=^・^=∧ ∧)」


 セバスは唐突な出来事に戸惑いつつ、


「・・・仕方のない猫ですね。では、私の悪い猫ヘルキャットは、何処にも行かないようにこの私の手の内に囲い込んで、逃げられないように。絶対に閉じ込めておかねばなりませんね」


 そっと抱き寄せられ、思わぬ反撃に真っ赤に染められたヘルつあれ≧▽≦き▲ゃ▲っ)σと。


「…は、 はぃ~。何処にも 絶対、逃げられません・・・ 逃しません絶対に」



 翌朝


Σ( ̄□ ̄;)な、ナゼ、こんなことが······」


 覚醒したセバスは戸惑う。自分の手足、声が変わったのだと自覚したから。


「ン、セバス様? いかがなさいました?」

「ツ、ツアレ、コレハ、いったい!?」


 普段の低く太く渋い声イケボからは想像しがたい、声変わり前の様なトーンの高い声。未完成な細身で有りながら、かっちりとした骨格に被さる筋肉には、はっきりとした盛り上がりが伺える。これからの成長が楽しみと思わせる瑞々しい若木を思わせる肉体美。

 セバスの元の面影が全く窺えない。しかし、ツアレにはそれが誰なのかが、分かってしまった。

( 〃▽〃)ツ△ア△レ →( *´艸゜チ▲ラチ▲ラ) →(〃ノωノン△、ん▲~) →キタ━(*;゚;艸;゚;イ▲マコ△コ)━!!


「えっと、とりあえず、セバス様…で合ってますよね?」


 疑問は持たないが、ツアレは念のために訊ねた。


「…確かに。はい、私に何かしらの状態異常が起きた筈です」


 ツアレは深呼吸を繰り返し、これまでのナザリックでの生活経験から。この様な事態も想定しうるのだと。


「暫定的に、今のセバス様を…」

「…私を?」


 様々な不安を抱え、戸惑いが隠せないセバス。

 トキメキとドキドキが止まらないツアレは、あえて言う。


「………区別するためにも、ショタス様推定10代前後と御呼びします!!」

「ぇえ゛っ!?」


 動揺を隠せないで居るセバス。


「では、ショタス様」

「……その呼び方は、確定なのですね」


 OPZショタスはガックリと項垂れている。


「はい!! 異常解除方法を探す為に協力します!!」

「その事ですが、これはメイド長ペストーニャの管轄ではないでしょうか?」

「イエ、私に任せてください! ショタス様を助けたいのです!!」


 ひと味もふた味も違うちゃうちゅ~るショタスを前に舌嘗めずりする自称・専属地獄(ФωФ)ヘルキャ▲ッ△ト

 ショタス、生涯最初のピンチが訪れようとしているw




ナザリック外部への公認発表

 元凶・公称『ホニョペニョコの呪具フェティッシュ悪盃Boin

 発見地点 漆黒の決闘沙漠 地中=マジックアイテム発動地点

 漆黒の戦士・モモンにより討伐された、ホニョペニョコの呪具。

 主な効能=状態異常~小人ミニマム化or猫化adult

 もし、同じ物が発見され次第、至急魔導王国にて封印するため回収する。



 なお、この公式発表後、危険を犯して砂漠を掘り返す、勘違いする者達が続出した。

 不老化=若返りのアイテムを求め・・・老若男女が砂漠との血闘を延々と繰り広げたとか・・・




風味文フレーバーテキストの末尾

   ………因みに、ゲットした者は暫くの間、その者の善悪の属性性別職業を問わず、称号エンブレム・悪盃聖人とか呼ばれたとかwww



 追伸

  我が心の義弟ペロロンチーノ

   謝罪スマン!!

    誤解は解けなかった!!


「ま、まさか! 本当に冤罪だったとは…」と、某国の魔王は呟いたという。




ナザリック限定公認 内部正式見解

 反逆されたシャルティア様が、アインズ様によって討伐された際のドロップアイテムと思われます。シャルティア様が反逆される際に、本来とは異なる変質しバグったアイテムと思われます。

 なお、お子様には効果がないもよう。使用条件としては、成熟化した対象にのみ、反応が伺える。

 討伐完了時での優先的回収品目の度合いから鑑み、見落とされた可能性【特大】。回収され損なった遺留品ブツ、シャルティア様の悪盃OPPAI =色欲悪盃Lust Grail 正式名称=………(;゚∇゚)!!( ; ロ)゚ ゚◀►═┅┄


   ……諸事情により、鑑定士と報告者はガチ消BANされました……




 次回予告ウソウソ編¿


 真冬の悪昼寝の悪夢ナイトメア Nyiyoニャイヨ//mistyミスティ nyaideナイデ~ ¿


 にゃウラ・ベッラ・なおーラ   にゃーチャー

 にゃーレ・ベッロ・なぉーレ   にゃルイド

 にゃルベド   にゃールドにゃード=(ФωФぬ▲こ▲ノ)ダウト

 しょたートス   妖虫王=頭脳は大人? 身体は…横綱? 四ツ腕力士風

 しょたウルゴス   hand’s boneハンズ ボーンDEVIL?




 ショタス vs ヘルキャット =烏賊刺しスクイッドを食べたぬこ状態デスwww=腰が抜けてます

  =猫にレアイカは危険デ~ス!!

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オーバーロード【・・・失伝?】 トータス @tortoise

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