星を失った海を渡るために、光を記録する道具を作ろうとする光海の発想が物語の軸になり、港町の職人イネスと士官アドリアンの再会が静かに温度を上げていく。八年ぶりの距離が、仕事を通して少しずつ縮まる描写が心地よい。試験で残った一本の“余計な光”が謎を呼び、霧の海から戻らない四隻の知らせが物語を一気に緊張へ傾ける。帰りを待つ家族の存在が、海へ向かう者たちの背中を押す。恋と謎と海の気配がほどよく混ざり合う、シリーズらしい静かな冒険譚。