長々川背香香背男

森のように、宇宙空間のように暗い、都市のはずれの青春のおはなしです。

火曜日にだけやってきた男とその失踪。 カラー暗室の通路で迷わないための方法。

理由もなく愛したものは、理由もなく去っていく。 もっとも悲しむべきは愛に理由のないことである。

出席カードをもらい損ねた日。煙草を吸いすぎた日。 ぬかるんだグラウンド、現代アートと女の子。 大学の購買のコンドームは売り切れていた。

お会いできてうれしいです 我が名に見当をつけていただければよいのですが ただあなたを悩ませてしまうのは そういう仕事をしているからなのです

学園祭の夜、屋上には月を見て泣く女がいた。 ステージではハムレットが催され、クレーターの淵には孤児たちがいる。 月に届きそうだった日々の記憶のお話。

徴兵忌避で自殺した画学生が、軽井沢の別荘地に化けてでる。 大学二年生の夏、映画の撮影で訪れた避暑地での出来事。