『まだ地図にない道』は、全14話完結済みです。
そして今回、公開済みだった本文も含めて、第一話から最終話まで全面的に書き直しました。
物語の骨格を別の作品にしたわけではありません。
むしろ、この作品が最初から持っていたものが、
説明ではなく、ポールとヘレンの仕事や失敗や選択として残るように、かなり深く手を入れました。
旅人の昔話を重ねれば、地図にない線が見える。
でも、二人が歩けたからといって、
それはまだ「道」じゃない。
普通の馬車が通れるか。
荷を積んだ商人が、もう一度使うか。
便利になることで、道のそばの暮らしを踏みつけないか。
完成したあとに問題が起きたとき、それを誰が拾うのか。
書き直しながら何度も問い直したのは、
「最短の線を引くこと」と
「道をつくること」は、本当に同じなのか。
ということでした。
三十五歳の宿屋の若旦那ポールと、
三十七歳の主任測量官ヘレン。
宿屋の記憶と測量の技術が、ぶつかり、補い合いながら、
一本の線を「誰かの日常」に変えていく物語です。
すでに一度読んでくださった方にも、
今の版を、できれば第一話からもう一度読んでいただきたいと思えるところまで仕上げました。
初めての方には、もちろん今の版が完成版です。
全14話、完結済み。
最後まで読んだとき、
『まだ地図にない道』という題名が、
最初とは少し違う意味に見えたら嬉しいです。