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あの時の夕焼けは

季節の変わり目って、なんか無性に昔のことを思い出す。

例えばあの放課後。
部活も終わって、空が茜色に染まりはじめてた頃。
友達とふざけながら歩いた帰り道で、ふと立ち止まって、
「なんかこの空、めっちゃ映画っぽくない?」
って誰かが言った。意味はよく分からなかったけど、
なんとなく全員が「うん」って頷いた。そんな記憶がある。

大人になると、空を見上げることが減る。
忙しくて、余裕がなくて。
心を動かす時間が、どんどん「効率」とか「結果」とかに
押しつぶされていくみたいで。
でも――たまに、どうしようもなく立ち止まる瞬間がある。

疲れて駅のホームで電車を待ってるとき。
コーヒー片手に外をぼーっと眺めてるとき。
何気なくスマホを伏せて、窓の外の夕焼けが目に入ったとき。

そんなときに、ふと、あの頃の空を思い出す。

何も特別なことがあったわけじゃない。
ただ、あの時間は確かに温かくて、優しくて、
きっともう戻れないって分かってるのに、
なぜかそのことが寂しくて、でも嬉しい。

今の自分がどんなにバタバタしてても、
あの空は、ずっと心のどこかで灯ってる。
忘れたくない風景って、きっとそういうものなんだと思う。

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