いつも読んで頂き、本当にありがとうございますm(*_ _)m
発売記念に何かしら書きたいなぁと思っていたのですが、短くて本当に申し訳ないです( ̄▽ ̄;)
少しでも楽しんで頂ければ幸いですm(_ _)m
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【可愛い花嫁(マリア)】
ウチのお嬢様と転生エクスの結婚式は、本来なら有り得ない程に小規模で行われた。
転生エクスの領地の孤児院にある小さな教会での身内のみの式というのは、お嬢様の囁かな望みを叶えたいがためにあれこれ手を回した転生エクスによって実現したけど……にしても、よくまかり通ったわね。
転生エクスは、なんだかんだ言っても、王太子のリンスの親友で次期騎士団長候補なので、縁を繋ぎたい貴族は多いはずなのに、それらに文句が出ないよう裏で暗躍した事はお嬢様は知らないでしょうね。
お嬢様も鈍くないので、転生エクスが自分のためにあれこれしてくれてるのは分かっているのでしょうけど、それに対して嬉しい気持ちと、少し申し訳ない気持ちを抱えてしまうのは仕方ないと言えるでしょう。
まあ、それさえも見透かしてウチのお嬢様を……元悪役令嬢アリスを愛でる転生エクスは気がつけば身体能力が凄いだけの腹黒から、何でも出来る万能チート腹黒へと進化したのだけど、本当に何があったのやら。
プレデターだったかしら?
転生エクス曰く、『俺と同種の人間』らしいけど、転生エクスがもう1人居ることを想像すると背筋が寒くなるので止めて欲しいものね。
あんな腹黒1人で十分だもの。
「お嬢様、幸せそうね」
「そうですね。本当に良かった」
隣には、前世の頃から大好きだった推しキャラから、最愛の人になった元隠しキャラのミスティ公爵家の執事のべリスが居るけど、その距離は限りなく近くなっていた。
「べリス……」
ギュッと、腕に抱きつくと、べリスは驚きつつも恥ずかしそうに受け入れつつ言った。
「マリアさん、人前でこれは……」
「嫌だったかしら?」
「そうではなくて……その……」
「ねぇ、べリス。私にも花嫁衣装……いつか着させてね」
そう上目遣いでお願いすると、べリスは真剣な表情でこくりと頷いた。
「約束するよ。僕が1人前になったら、必ず君を……妻にすると」
真面目で、真っ直ぐで、優しい……そんな彼に推しキャラ以上に惹かれて、いつの間にか心底愛してしまったけど、彼も同じ気持ちなのが凄く嬉しい。
「ええ、楽しみにしてるわね」
そう言いつつも、裏では転生エクスとの約束でウエディングドレスやタキシードの素材を分けてもられることに来るなってはいるけど、出来るだけ自然な形で彼に流すようにしてる辺り、私も転生エクスに似てるのかもしれないわね。
まあ、あんなに腹黒ではないけど……というか、あれは異常よね。
チラリと視線を転生エクスとお嬢様に向けると、幸せいっぱいの笑みを浮かべるお嬢様とそんなお嬢様を心底熱く見つめる転生エクスの姿が。
(今夜はお嬢様も大変そうね)
初めての夜であの転生エクスがどれ程お嬢様を求めるのやら……私だったら重すぎるその愛情に押しつぶされそうになるでしょうし、やっぱりお嬢様と転生エクスはお似合いなんでしょうね。
そうして、お嬢様と転生エクスの結婚式は過ぎて行き、初夜は大変盛り上がったと事後報告をお嬢様から受けたのだけど、私も早くべリスと初夜を迎えたいものね。
私としては結婚前にそういう事をしても問題ないとは思うのだけど、彼は凄く真面目なのでそれに合わせるのも悪くない。
転生した頃の怖くて孤独な気持ちから、こうして今は幸せに過ごせてる……人生とは分からないものね。
まあ、私にはヒロインなんて柄じゃないし、転生エクスと利害が一致してるので、敵対せずにベリスと平和に過ごせるようにしましょう。
お嬢様のメイドをするのも楽しいしね。