ピーポーピーポー・・・
どこからともなく、サイレンが聞こえる。
サイドミラーを何気なく見ると、後ろからだった。
大通りの3車線にはビッチリと車が詰まっていて、じっと青になるのを待っていた。
あっという間に1台、また1台と、できる限り端に寄せ始める。
自分も隣の車に当たらないスレスレまで寄せた。
あっという間にもう一つの道が見えた。
横を通り過ぎる瞬間、軽くお辞儀をされた。
この間、僅か数秒。
助かってほしい・・。
そこにいた全ての車が、ただ反射的に、というよりは善意からの行動だと感じた。
自分はあの救急車に乗っている人を知らない。
多分他の人もそうだろう。
こんな誹謗中傷や、自分さえよければ、が目立つようになってしまった世の中で、無条件で道を譲る。
ただ当たり前の日常に、なぜだか涙が零れた。
救急車の後ろを、沢山の善意の糸が静かに伸びていく。
それは見えないはずなのに、確かに見えた気がしたー