何も解決しませんけどね。
知人に「貴様は人の小説をこき下ろすのが得意だからレビュアーになればよいのだ」といった感じに褒められたので、なるほどそういうものかと思い、わかった俺は海賊王になるといきり立ってみたものの、人様の書いた小説を勝手に読んで勝手に文句をつけているのでは頭のおかしい人と似たり寄ったりなのだ。
私は頭のおかしい人になりたくなかった。
三日三晩ほど考えた末に、そうだ感想を求めてきた人にだけ文句をつけて差し上げればきっと喜んでもらえるに違いない、だから依頼を受けてこき下ろすという手続きをとってさえしまえばやりたい放題だし、これはきっとメシがうまいぞと思い立ち、これまで放置していたプロフィール欄に感想依頼を受け付けている旨を書き込んでみた。
一夜明けて、僕は愕然とした。
まったく依頼が来ていない。どういうことなのだ。こんなことがあっていいものだろうか。僕はほんの少しだけまともな人間を装うことに成功しているのだからこの程度のことは難なく許せるけれども、この世には何かにつけて何もかもが許すことの出来ない魑魅魍魎に溢れているので、きっと彼らが許さないに違いない。このままでは大変なことになってしまうかもしれない(大変なことになるとは言っていない)。
早く何とかしなくてはと私は思った。
どうしてこんなことになってしまったのだろうという想いだけが募り、昨日の晩ごはんがなんだったのかすら思い出せない。もしかすると昨日の晩ごはんが思い出せないのは、いつものことなのかもしれないが、どう考えても、もはやとても正常な状態ではない気がする。しかしそれでも私は……僕は……いや、俺は、早くなんとかしなくてはならないのだ。やっぱり一人称は俺にしよう。
原因は一体何なのだろう。なにが悪かったのか。
もしもまともな人間がこの世にいたのなら、お前ごときのプロフィール欄をわざわざ読んでくれるような人がいるとしたら、そいつは気が狂っているか、詐欺師か、人間じゃないから、心配せず釘バットでホームランを側頭部に叩きこめと言うだろう。
しかしこの世にまともな人間が存在する可能性は微粒子レベル。学術用語的に言えば微レ存というやつなので、現実的に評価して釘バットを用意する必要が無いことを僕は知っている。大体そんなもんAmazonでも売ってないのだから、入手不可能である。
プロフィール欄をわざわざ読んでくれる人がいないという可能性は無視できることがハッキリとしたところで、私にはこの問題の本当の問題点という物が見えてきた。一文の中に問題を二回書くなんてとんでもなくダサイ事だというのはこの際捨て置く。
本当の問題点――それは、連絡先がない。
そうなのだ。もしも万が一、どこの馬の骨ともしれない俺に一生懸命書いた自分の小説を差し出しズタボロに酷評して欲しいというマゾヒスティックな人物が現れたとしても、その想いを私に伝える術はない。あなたの変態的なその感情は1/2も俺に届かないのである。
そこでこの近況ノートだ。
どうやらこの近況ノートなるものにはコメントを書き込む機能があるらしい。カクヨムは説明書が不足していると思うし、真実そうなのだろうから、この秘密の機能のことを僕が知り得ることは、本来ならなかった。しかし偶然というか幸運にもというか奇跡的というか、あるいは運命のいたずらで、なんとなくそういう機能があるのだと僕は認知することができた。なぜなら、僕は説明書を読むのを面倒に思うタイプだからだ。わりとどうでもいいことだが、このような不誠実極まりない『メンドクサガリ』はこの世にたったの五割ほどしか存在していない。残りの五割のうち三割くらいが説明書を真面目に読む。説明書などこの世に存在する必要はあまりない。(ないけど、有ってください。僕は読みます)
そろそろこの駄文を読むことに耐えられる人間などこの世のどこにも存在しない頃合いだろう。多くの人間はブラバと呼ばれる人類の叡智が生み出した必殺のクリックでそっと戻っているはずだ。と言うかそもそもこのページを開いていない。万が一ここまで読み続けているとしたら、あなたは気が狂っているか、詐欺師か、人間じゃない。
そうだ、人間じゃない。あなたは人間じゃない。たぶん、神様ですありがとうございます。
この文章のどこかを縦読みすると、読書感想文の依頼はこのノートにコメントで書いてくださいと記されていると思うので、それは探さないでください。