三連休いかがお過ごしでしょうか。
うちは忙しい予定だったのにコロナのせいで急に変更になりまして、なんだかのんびりと過ごしています。
昨日数人でネタの出し合いをしていたのですが、貰ったネタが穴の短編には使えそうになくて笑
でも一応書けたのでここに載せます。
しょうもないネタですけどよろしければどうぞ(๑◔‿◔๑)
あ、ついでに短編集の宣伝も!
見てくださってる方、どうもありがとうございます。
もう少し続きますのでよろしくお願いします
「深淵を覗くとき◆3分で読む不思議な穴の物語◆」
https://kakuyomu.jp/works/16816700429297484064◇◆◇
ショートショート「昨日見たヤギ」
「へえー、こんなところでヤギを飼ってるお家があるのね」
妻の声にチラッと横を見ると、白い動物が見えた。
「ヤギか。珍しいね」
「可愛かったわよ。真っ白で、顔に泣きぼくろみたいな黒い模様がひとつだけあったの」
「ふーん。雌かな?」
「それは分かんないけど、そうかもね」
昨日の朝、車でちょっと遠くのショッピングモールに向かっていた時のことだ。
郊外とはいえ住宅街でヤギを飼うなんて珍しい。
土曜のショッピングモールはまあまあ人が多い。
俺たちは妻が欲しがっていた小物入れと本を二冊買い、軽くランチを食べてから帰ることにした。
最寄りの駅のそばを通った時、ふと公園に白い動物の姿を見た気がする。
「ヤギ?」
「あら、こんなところにも。可愛いヤギねえ」
運転中だからはっきり見ることはできなかったが、行きに見たのと同じような白いヤギだ。家からこんなに近いところでヤギを見るなんて。
……駅前の小さな公園にヤギ?
休日だから何かのイベントだろうか。
疑問に思いながら家に帰った。
夕方になって、妻が醤油を買い忘れたという。最近できたスーパーまでは歩いて五分。
「運動不足だからね。俺が歩いていくよ」
「本当? ありがとう。たすかるわー」
緩い坂を下り角を曲がる。道の右側には似たような家が五軒並んでいるけど、真ん中の家は空き家だった。
その前を通りかかったときに、なにか動くものが目に入る。
白いヤギ。
何故?
ヤギは真っ白い体で、顔にはまるで泣きぼくろのような黒くて丸い模様がある。
草が生い茂っているから迷い込んだのか。
そもそもこの辺りに野良ヤギが住んでいるのか。
そんな馬鹿な。
そう言えば妻が見たヤギも、顔に無きぼくろのような模様があったという。駅近くの公園で見たヤギも真っ白だった。顔までは確認できていないけれど。そして家のほんのすぐそばの空き家にも泣きぼくろ模様のヤギが。
もしかして同じヤギ?
だんだん家に近付いて来ているとか……まさかな。
少し気味が悪いと思いながらも、俺は頼まれた買い物を済ませた。
その帰り道、ヤギはどこに行ったのか、今はもう姿が見えなかった。
◇◆◇
翌朝、目が覚めると妻の姿が見えない。日曜の朝と言うのに早くから起き出してどうしたのだろう。
不思議に思ってリビングに行くと、外で何やら叫ぶ妻の声が聞こえる。
俺は慌ててドアを開けた。
するとそこには、妻と並んで白いヤギがいる。
「この子、メーさん。今ドアの外にいたの」
そのヤギの顔には泣きぼくろのような黒い模様があった。
「うん。名前はメリーさんにしようか」
【了】