「うーわッ、何だよコレ」
一郎の動揺声とは裏腹に、スズカゼは素早く体勢を直す。直後、間合いに入るもう一機のグラウカ。僚機の二の舞を避けるためか、やや遠距離からの連続打撃で攻撃開始。
「身体が軽過ぎる!」
一郎の言葉通り、スズカゼは鋭いステップと腕捌きでグラウカの連打を捌く。捌く。捌く。間合いを詰める。そして。
「そのくせ、一撃が――」
スズカゼの左拳が、グラウカの胸へと突き刺さった。
「――びっくりする程、重い!」
ひしゃげ、吹っ飛び、叩きつけられるグラウカ。氷を粉砕しながら墜落した巨体は、なすすべなく四肢を投げ出すばかりだ。
「驚いたのはこちらも同様だ。加藤、キミは何か武術を学んでいたのか?」
「ん? ああ、空手を少しな……てかお前、フォーセルだよな? どっから喋ってんだよ」
「それは……いや、その前に」
「何だよ」
「次が来るぞ」
ミスカの指摘と同時、スズカゼを衝撃が打ち据えた。それも一発ではない。五発。十発。まだまだ来る。
「いてっ! いや熱、熱っつ! 何だ、何なんだ!?」
「上、遠距離攻撃だ」
ミスカに従って見上げるスズカゼ。そのカメラアイが捉えたのは、銃口を備える角ばった浮遊物体。即ち、先程まで自分達を取り囲んでいたフェアリーユニットであった。
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