「……初雪」
召喚陣が軋んだ。
港全体が、一度息を止めた。
海面が白くなった。
雪ではない。泡でもない。けれど、潮の上に薄い冷気の膜が張ったように、進水台の周りだけが淡く白む。置かれていた鋼片が鳴り、敵油の樽が低く震え、吹雪の破損部材から錆水が一筋流れた。
次の瞬間、海面が割れた。
まず艦首が現れた。
吹雪に似ている。だが、同じではない。鋭さの奥に、どこか冷たい寒さがある。前部の連装砲塔。艦橋。細く、薄く、駆逐艦として大きいが、大艦の前ではやはり刃物のように頼りない細い船体。
特型駆逐艦、初雪。
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