• ミステリー
  • 現代ドラマ

挫折すること

まだ私が20代の頃です。
当時私は事情があって暇を持て余していましたので(つまりは失業中だったんですな)、ある文化センターで開かれていた『小説教室』を受講しました。
講師は高名な純文学の大家で、初日に、
『もし作品を見て貰いたいと思う方がおられましたら、一度書いて来てください』と仰いました。
私はどうしようかなと迷いはしましたが、家人にも勧められましたので、物は試しと短編を一本書いて次の講義の際に渡しました。
さてその翌週のこと、講師は受講生(大半は女性で、しかも中年過ぎの方ばかりでした)の前で、私の作品の細かい誤字脱字や文字の使い方について細かく指摘した後、講評のまとめとして、
『これは小説とはいいませんな』と、見事に切り捨られたのです。
 正直、ショックでしたね。
 向こうは大家、ボクシングで言うなら日本タイトルを複数回防衛を果たしたような強者。こっちは昨日今日、ボクシングを始めたばかりのひよっこみたいなものです。
『ちょっとスパーリングをやってやるから上がってみな』と言われてリングでガチにぼここぼこにして、
『お前のはボクシングじゃない』と言われているようなもんです。
それでも私が将来プロの作家にでもなろうとしている人間なら、きつい指摘もまあ仕方がないでしょうが、ただ楽しみでモノを書いていたいと思っている人間の心をずたずたにするような真似をするなんて・・・・と、相当に傷つきました。
それがトラウマになったためか、私はしばらくモノを書くのが嫌で仕方がありませんでした。
まあ、今になって考えてみれば『趣味だってモノを書くのは並大抵のことじゃないんだぞ』と仰りたかったのかもしれませんがね。

(ちょっと愚痴っぽくなってしまいましたね。失礼致しました)

4件のコメント

  • 初めまして。
    コメントではありません。すみません。
    冷門さまの自主企画「ハードボイルド一直線!」にエントリーしたのですが、連絡手段がみつからず、こちらに記入させていただきます。
    エントリーした作品は応募条件の1番目に該当していません。ただ、作風はハードボイルドで、主人公が探偵的行動をしていきますので、応募させていただきました。
    ちなみに私もレイモンド・チャンドラーのファンです。
    ペンネームは、レイモンド・チャンドラー風の作品という意味なのでしょうか。
    条件には合致しませんが、お読みいただけますと幸いです。
    よろしくお願いいたします。
  • わざわざ有難うございます。個人的な考え方ですが、ハードボイルドというのは、
    『信念を持った人間の生き方追求小説』だと思っていますので、余り条件は厳格に考えなくても結構です。
    (あれはあくまでも最低限の物差しのようなものですからね)
    私はチャンドラーの作品は『長いお別れ』と『プレイバック』の外、短編を少し読んだきりですが、ご指摘の通り、敬愛する作家の一人でありますから、チャンドラーから拝借してペンネームをつけました。

    喜んで作品は拝読させて頂きます。
  • 私も傷つくのは嫌ですね。でも多くの大人はその人の事を思ってなのでしょうけど…。

  • コメント有難うございます。まあその作家先生は純文学の真面目な作家ですからね。
    それにまあ文章作法と言う点からいえば、私なんかド素人中のド素人でしたから、指摘したくなる気持ちはわからんでもないですが・・・・・ああ、もっともそうしたことに私が気づいたのは、本当に年をとってからなんですけどw
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する