「犬の鑑定法」 「私の名前を訊いてくれ」の2つを完結させたので、あとがきを書いておこうと思う。
2つの小説は、“イベント”と呼ばれる謎の出来事により、異世界が現実に侵食してしまった世界の話を描いたものです。
主人公はそれぞれ別に用意していますが、どちらの物語でも、「探し屋」と名乗る(たぶん)フリーランスの二人組、譲葉煙(ゆずりはーけむり)と猿田真申(さるたーまさる)が事件の解決を行う形式をとっています。
彼らが相対するものには、人間の他に、異世界起因の何かであるイ形(いがた)が関わってきて、譲葉と猿田は、それぞれイ詞と呼ばれる力を行使します。
ただ、終わってみると、2つの物語では彼らの力が活躍する機会がほとんどありません。
・「犬の鑑定法」は、異世界であるイ界に呑まれるとはどのようなことなのか?
・「私の名前を訊いてくれ」は、イ形と関わるとはどのようなことなのか?
をそれぞれ書き留めておきたかったというのが主たる作成動機です。
そのため、譲葉と猿田の力については、背景となる要素に留まっているような状態にあります。
作成中、能力者バトルもの書く人たちってすごいね。という感想になってました。すごいね。
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話はあちらこちらに逸れますが、「犬の鑑定法」は怒りの話です。誰が誰に何故怒っているのかについて、うまく読者に伝わればよいなと思っています。
劇中において、譲葉と猿田は、怒りを咀嚼しきれないまま、事件を終えてしまっていて、実は筆者自身も劇中で出てきた「怒り」をどうしたらよいのか答えが見えません。
ぶつける相手がいない。いたとして、ぶつけた怒りが相手に響くわけでもない。けれども、自分が振り上げた怒りで全てが変わってしまった。
そんな状況になったとき、手に残った怒りをどう扱えばよいのでしょうか。
どこかで答えになる物語が見つかればよいなと思っています。
また、「犬の鑑定法」が誰かの答えのきっかけになるなら、それはとても嬉しいことだな思います。