わたふね

いつも通りの親友、いつもの他愛もない話。 だけど、気づけばその笑顔に、目が離せなくなっていた。 押し寄せる感情に戸惑いながらも、 名前をつけられない想いが、ゆっくりと形を変えてい…

放課後の教室に残ったふたり。 いつも明るくて、みんなに好かれる犬飼くんが、ふと見せたさみしい横顔。 「……なでて？」 甘えるようなその声に、私はそっと手を伸ばす。 がんばった君に…

生徒会長の彼が好き。 でも、ただの一生徒だった私は、朝の「おはようございます」しか言えなかった。 小さな偶然から始まった関係。もっと隣にいたくて、副会長になった。 「ここ、俺の…

文系の美桜は、物静かで感情表現がちょっと苦手な高校生。 となりに座るのは、穏やかでやさしい理系男子の幼なじみ・蒼真。 一緒に勉強して、一緒に帰って、気づけばいつも彼の隣にいた。…

付き合っていた彼に、別れを告げるつもりだった。 でも、彼は当たり前のように未来の話をしてくる。 逃げたかったはずの心が、あたたかい手に包まれて、溶けていく。 これは、「好きだから…

平凡な大学生・悠真は、ある日もらったチケットでアイドルのライブに足を運ぶ。 ステージの上で輝く彼女・天羽ほのかを見た瞬間、彼の世界は少しずつ変わっていった。 名前も知らなかった“…

バレンタインに出会ったのは、眼鏡の奥で実験に夢中な男の子。 恋なんて関係ないと思っていた私が、気づけば毎日のように化学部へ。 ゆっくり近づいていく、静かで優しいふたりの距離感に、…

動画撮影のために料理をする彼と、いつも隣でそれを見ている彼女。 親友として、当たり前のように並んで過ごしてきた日々の中で、 少しずつ心に積もっていく、言葉にならない想い。 ――優…

静かな水族館、青い光に包まれて。 今日だけは、誰にも邪魔されないふたりきりの時間。 ちょっぴり距離が縮まる恋の予感――そのぬくもりが、ずっと胸に残っている。

東京で雑誌記者として忙しく働く綾乃は、飛騨高山の木工文化を取材するために訪れた。 静かな町並み、木の香り、鉋の音。そして──出逢ったのは、寡黙な木工職人・修一。 言葉は少なくて…

「好きです。付き合ってください」──彼女の告白に、俺はうなずいた。 けれどその時、恋愛感情はなかった。ただ、彼女のことが大切だったから。 それから始まった交際、結婚、そして日常…