最近の創作 「✟ ノーヘブン|サンクチュアリ ✟【完全版】」
はじめに
今年、自分のライフワークであるSFシリーズ「NO Heaven」の第1部、
✟ ノーヘブン|サンクチュアリ ✟【完全版】を公開しました。
火の星を舞台に、“構文”で管理された世界と、その外側から滲み出す「none」という異物が衝突する物語です。
世界観の軸:構文世界と「天の裂け目」
この作品の核になっているのは、
「世界は言葉=構文によって定義されている」という設定です。
人々の生存、戦争、祈りまでもが“記述”として管理されている一方で、
その構文に収まりきらない何かが、空を裂いて侵入してくる。
それが作中で「天の裂け目」として現れ、noneと呼ばれる像を連れてくる——
サンクチュアリ編は、その最初の破綻の瞬間を描いた物語です。
ビジュアルイメージ:「実験装置としての塔」
物語の中心には「構文の塔」と呼ばれる巨大施設が存在します。
表向きは世界を安定させるための管制システムですが、
本質的には意味と存在を再配分するための実験装置として機能しています。
塔の最上層で起きる「落下する光」や、
クサナギとヤガラスが裂け目の前で交錯するシーンは、
既存の秩序を解体し、新しい世界像を生成しようとする“危険な更新処理”そのものです。
物語と現実のジャンクション
サンクチュアリ編は、
火の星の戦争やAI、一枚岩ではない“神”の不在を通して、
現実世界で僕たちが感じている「説明できない違和感」や
「どこかで決められている気配」を、SFの言葉に置き換えようとした試みでもあります。
noneや名を持たぬ者、四観といった存在は、
テクノロジーと信仰、国家と個人、記録と忘却がぶつかる
“COSMIC JUNCTION”としての現代を象徴させたキャラクターたちです。
これから
サンクチュアリの続編である『ノーヘブン|ウォーターボーン』では、
舞台を水の星へ移し、「前の戦」とヒュドラ計画の全貌を描いていきます。
火の星と水の星、現在と過去、AI《一問》とnone。
それぞれの物語が、やがて一つの「ジャンクション」に収束していく過程を、
引き続き作品の中で追いかけていきたいと思っています。
