トットはヴィクトリカの言い訳を無視して畳み掛ける。
「せ・な・か、痒いんだよ!」
今度は顔だけトットに向けて、反論する。
「あなたがずっと痛そうにしているから、助けてあげたのですわよ!」
「気持ちは嬉しいけどよ……優しくほぐしてくれれば良かったんじゃね?」
勝負が決したかのように、トットはニヤリと笑う。
「東洋の施術……だっけ?」
「ほ、本で見ただけですもの……。熱を一点に集中させると……身体の芯から痛みを和らげる効果が……」
上気した顔を傾け、髪を口元まで乱したまま、ムキになるヴィクトリカ。
「あぁ、痛みは取れたぜ。そのかわり、痒くて寝ることもできねぇ」
「なんか、すごく肩が凝ってるんだよなぁ……」
トットはそう言うと、鼻が頬に触れるほどヴィクトリカに顔を近づけた。
「わ、わかりましたわよ」
それでも炎熱の審美家は語るのをやめなかった。
「ですけれど、これだけは憶えておいて下さらない」
「実験に失敗するのは、美しさを追求するのには絶対的に必要なことなのですわよ」
「じゃ、よろしく!」
トットは愉しげに鼻を鳴らした。
〜後編終わり〜
▼本編『命の営み』はコチラから。
https://kakuyomu.jp/works/2912051604339980743/episodes/2912051604367006118
画像はChatGPT使用です。