こちらは第七回こむら川小説大賞(https://t.co/BGia7SAxDE)に投稿された作品に対し、わたくし梅緒連寸がXにて呟いた感想をまとめる場となります。
今後も不定期に追加される可能性があります。
《注意》
・梅緒連寸は男と男の関係が生み出すドラマを何よりも好んでいるため、読ませていただいたり感想を述べさせていただく作品はそういった内容を含むものに偏る傾向があります。
・読んだうえでさらに感じた感想を文字にしたい、と思った作品に対する内容です。ですが今回の企画に投稿された作品すべてには目を通せておらず、読んでいる順番もまったくのランダムです。
したがって梅緒連寸が感想を述べていない=刺さらなかった、という訳ではないことをご理解いただけますと幸いです。
・作者名が視認しやすいよう、敬称略とさせていただきます。
■今でもあなたはワタシの光(狐)
https://kakuyomu.jp/works/16818093082021936794
父と息子、の関係なのですが、実はさらに含みがある男同士の関係がよかったです。禿げ上がった中年の姿でも、きっとこの親子は精悍な目つきをしているのだと思います。私にはそれが見えます。
真実を知ったうえでなお2人は父と息子の関係を続けたのが最後の主人公の独自から窺えますが、はたして今までどおりでいられたのでしょうか。多少はぎこちなさも生まれつつ、元の形を保つために歩み寄ろうとしたこともあったのではないのでしょうか。そういった2人の時間を想い、深く噛み締めたいです。
■大食い美少年『三大欲求のジョー』(佳原雪)
https://kakuyomu.jp/works/16818093082017669262
美少年(成人済)×美青年、承知しました。誠に有難う御座います。もしも並びが逆ということであれば即刻認識を修正したく思いますのでご指摘頂ければ幸いです。
ジョーの魅力は食欲と比例しており、たおやかながら豪傑のような度量を持つ男なのでしょう。鳴らざるはずの鈴を鳴らせるというのも納得です。大喰スペックからするとジョー1人でも活動できそうな気がしますが、きっとどれほど味わっても飽き足らない程の想いをリンリンに向けているのだと思います。
■この手の中の光(惣山沙樹)
https://kakuyomu.jp/works/16818093082016738225
兄弟間の性なる話、甲子園球児の放つ直球の如く真っ直ぐに心に届きました。
6歳差の兄弟で来年から中学生の弟がいるという事は、兄こそ大学に最も近い年頃の筈です。それなのに自分の事よりも弟の将来を想う。まごう事なき愛です。チンコが光る事はあくまで副次的な現象です。愛しているから助けてあげたいというのが兄の想いの芯ではありませんでしょうか。発光チンコは物語序盤で退場した父との繋がりでもあり、母の思い出をなぞるものでもある美しい家族愛の化身です。
発光チンコは刺激によって色が変わるとのことで、やはり現状は家族愛由来の手コキの色なのでしょうが、これが中学・高校と弟が大きくなっていくにつれてチンコの光と共に兄に向ける感情も変わってくるのではないかと、この物語の向こうをじっくり想像してしまいます。
■高野咲良は亡くなりましたか?(南雲 皋)
https://kakuyomu.jp/works/16818093082349205039
私好みのホラー作品でした。ネタバラシは極力避けたいのでここでの詳細は語れませんが、タイトルと伏線の拾い方がいいなと思いました。
■光源(惟風)
https://kakuyomu.jp/works/16818093082013931316
いくらなんでも元恋人に対してなんてことを考える奴なんだろうと憤りを感じましたが、男が男を救う話だったのでめちゃくちゃOKです。いったんお話としてはハッピーエンドだと思うのですが、彼の性質そのものに変化はないのではないかとも思えます。虫は死ぬまで光に集まる習性です。アオリの「今から貴方が俺の光」も、新たな光源に引き寄せられたような不穏さを感じます。ラストはそういった含みも感じられるし、そのままハッピーエンドと読んでも矛盾はしないのが技巧だなと思いました。
■人魚と神様(ごもじもじ/呉文子)
https://kakuyomu.jp/works/16818093082124484972
手に入れた永遠の力と、いなくなってしまった人魚の事から人間が何を巡って争っているのか、うっすら嫌な方向に察します。人が手にするには烏滸がましく分け合うことも出来ないような僅かばかりの肉なのでしょうね。不死が呪いであるならば、たとえ青い光を主人公が抱きしめ続けたとしてもその命を滅することはできないのではないのでしょうか。主人公だけ。
■たびんちゅぬふぃかり(白里りこ)
https://kakuyomu.jp/works/16818093082044218657
主人公の身に降りかかった事は実際に起きた事で赤ちゃんのエピソードなども口伝を元になさったかと思います。結末の先にこの出来事を伝えられる人間が残ったのか定かではありませんが、せめて読んだ者として忘れじの物語としたいと思います。
沖縄戦の被害数は住民4人のうち1人が亡くなっている計算だそうです。現代でいえば普通に暮らす両親子供2人の核家族のうち1人の命が奪われる事になり、決して過去だけの出来事にあらず既に世界で起きている事でもあり、選択次第では今後この国でも繰り返しうるものであることを心に留め置きたいです。
(最終更新.2024/08/18)