運命というのをあなたは信じますか?
……いや、申し訳ない。こんな飾り気もなく「運命」という言葉を使ってしまったら、おそらく怖がって近寄りがたい印象を与えてしまうことでしょう。
特に、こんな細々としたアカウントの近況ノートを何かの酔狂で読んでいる貴方には。
そんな大仰な意味で書き連ねた訳ではないのです。
ただ、偶然の重なりというものに、何らかの意味を見出さねば逆に気が済まないような、不安のような感情を表したいだけなのです。
そうです、奇跡体験です。アンビリーバボーなのです。
かくして、その経緯とは。
最近、小説を書いてみたいと一念発起し構想を練っていました。
うーん。異世界物のファンタジーがいいなー。舞台が海とかいいかもなー。
発想はとにかく突拍子のないもので、この世のどこにもないとされるナーロッパ(不躾で申し訳ない)の海岸といえば……ということでイタリアやスペインあたりで空想の膨らみそうな観光スポットをGoogleで検索していました。
そして目に入ったのが、イタリア南部のカポリ島の海岸洞窟。
「青の洞窟」なんて呼ばれていて、それはもう限りなく透明に近いブルーが広がっています。ぜひ検索して見てください。
さてこの洞窟について、wikipediaにはこんな説明があります。
アンデルセンの出世作となった恋愛小説『即興詩人』では、この洞窟が重要な舞台となっている。森鷗外の翻訳では、「琅玕洞」(ろうかんどう、琅玕=翡翠のこと)と訳された。
へぇ。めっちゃオサレな翻訳やん。さすが文豪の教養の深さである。
もう信号機の直進信号も「琅玕」で統一したらいいのではないだろうか。あれは緑だ、いや青だ、なんて些事も無くなることだろう。その時はそのぐらいの感想でした。
そして構想がまとまったところでいざ資料探しに図書館へ。
のですが、資料や参考図書を借りるついでに、つい関係のない本も読んでしまうのは、皆さんも経験のあるところではないでしょうか。
それで読んだのが、『福田和也コレクション1:本を読む、乱世を生きる』。すごい分厚いし値も張るので、機会があったときにはちまちま借りては読み進めていた本でした。
そこで出てきたのが、大学生に勧める本10選のエッセイ。
これこれ、こういうのに私は弱い。積読巨人軍に憧れる私は、毎度生計を圧迫しながらもついメモ帳やスクショでリストアップし、Amazonの欲しいものリストにぶちこんでしまうのだ。
そしてそのリストの中に、つい最近見かけたばかりのタイトルが。
H・C・アンデルセン著『即興詩人』────これ、マジ?
え、確かアンデルセンって童話作家だよね?確かに有名だけど、血気盛んな大学生が読むべき作家さんなのか?
……そう、侮っていました。まさしく、ナーロッパのお花畑に浸かりきっていた私は、あろうことかこの大作家を読みもせずに軽んじていたのだった。
奇妙な符号に驚ききつつも、その後は結局『即興詩人』を借りるわけでもなく帰宅。
あーでもない、こーでもないと初めての創作活動に熱中していたのでした。
そしてふと、休憩がてらに何気なく自分の本棚にあった一冊を手に取ったのです。
それは、金井美恵子先生の『夜になっても遊び続けろ』でした。(これも、とある方の読書リストから拝見してネット注文した物です)
そういえばこの本も完読してないなと思い、パラパラと読み進めていると、自分が影響を受けた作家・作品というテーマのエッセイが。
……ふっ、全くこういうのも大好物だぜと、自分の弱みを握られたような気持ちで読みました。
すると、やはり……ここにもハンス・クリスチャン・アンデルセンの名前が!
ここまでくると、もはや偶然という言葉では片付けられません。
いい加減読めよと、呆れた仏の顔が浮かんでくるのでした。
皆さんにはこんな経験がありますか?
運命というのをあなたは信じますか?
私?私はもう確信しましたよ。
ほら、私のAmazonリストがとある男性の名前で埋め尽くされているでしょう?
常識では考えられない体験──アンビリバボー。
あなたの身に起こるのは明日かもしれません……。