ホラーを一冊も読んだことがないのに、
三作目が生えました。
『いつもの距離』
仕事帰りの深夜。
後ろから、
カッ、カッ、カッ、カッ。
犬が歩いているような音がする。
近づいてこない。
離れもしない。
毎晩、同じ距離からついてくる。
でも、一ヶ月も続けば慣れるもので。
「またあの犬、散歩してる」
くらいにしか思わなくなった頃。
一緒に歩いていた友人が言いました。
「……飼い主、足音静かじゃね?」
――というお話です。
今回も、
何がいるのか。
何が起きたのか。
そもそも、何を見ているのか。
全部は書いていません。
私の中にはちゃんと「もうひとつの事情」があるのですが、
本編では黙っておきます。
よかったら、夜道を一緒に歩いてください。
カッ。
カッ。
カッ。
カッ。
いつもの距離から、ついてきます。