「いいものさえ作れば、読んでもらえるはず、というのが空論」は多分、言い過ぎです。現状を分析した正しい言葉ではありますが、良いものの価値を疎かにしすぎている。
かつて僕は、このように発言したことがあります。
現在の創作環境において、ただ物語を書くだけでは誰の目にも止まらない、それは厳然とした事実であり「いいものさえ作れば、読んでもらえるはず、というのが空論」は重ねて言いますが現状を分析した正しい言葉です。
そしてこれも重ねて言いますが、この言葉は良いものの価値を疎かにしすぎている。僕はそう感じています。良いものには価値があるし、それを疎かにしてはいけない。
では良いものとは何か? という疑問があるかと思います。
結論から言うと、それは読者の期待を裏切らないものだと考えています。
つまりカテゴリエラーを起こしていない物語です。
期待を超えるものがあればなお良いとは思いますが、それはあくまでカテゴリエラーを起こしていないことが前提です。
読み専である僕は、だいたいこの考えでネット小説を取捨選択しています。
初めから良いものを探していますし、見つければ食いつきます。
逆に言えばカテゴリエラーを起こしている作家さんの作品は、どれだけ接点があろうと読みません。
このような考え方で最近接点のあった★をたくさんもっている作家の作品と作家性を分析してみました。
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おこのみにやき氏
妖刀使いの悪徳鍛造師〜法外な値段で武器を売る鍛造師に転生した俺は、最強の『妖刀』で剣の時代を終わらせ至高の一太刀を鍛造する〜
【カクコン11中間突破】崩壊魔術師は救世主になりたい〜転生したら没落済み悪役貴族になっていた俺は、【救世主】へと昇格する。エンディングスタートとか聞いていないよ!〜
『カテゴリエラーを起こさない作家性のメンタルモデル』
1. 悪役・悪徳キャラからの超マイナススタートと贖罪・自己犠牲の主人公
- 前任者の罪を受け入れる
- 「誰かを救いたい」「人の助けになりたい」という強い利他主義と自己犠牲の精神を持っている
- ボロボロになりながらも人々からの信頼を勝ち取っていく(贖罪していく)という共通の物語構造がある
- 物語のリズムにおいて逆境スタートから這い上がる構成は、独特の爽快感がある
2. 金髪紅眼で圧倒的強者の相棒の配置
- 金髪紅眼の圧倒的な実力を持つ美青年」が相棒(バディ)兼・導き手として配置されている
- 常に笑顔を絶やさない好青年でありながら、主人公でさえ目で追えないほどの常外の戦闘能力を持つ作中最強クラスの存在である
3. ネットスラングやメタ発言を多用するコミカルな一人称・ツッコミ語り
- 作品の世界観はシリアスで流血や死を伴う過酷なもの
- だが、主人公のモノローグ(心の声)は非常にノリが軽く、オタク用語やネットスラングを駆使したメタ的なツッコミ気質という特徴がある
- これにより、重くなりがちな絶望的状況や凄惨なバトルシーンでも、読者に悲壮感を感じさせすぎない軽快なテンポを作り出している
4. 漢字+カタカナルビを用いた「中二病心をくすぐる」能力設定とバトル演出
- キャラクターが持つ特殊能力や技には、特定の漢字にカタカナのルビを振る独自のシステムが共通して採用されており、厨二病的なロマンがある
- 『崩壊魔術師』では特殊能力を【固有スキル(オリジン)】や【固有魔術(シングラ)】と呼び、『妖刀使い』では武器の能力を【固有臨界(アルカナ)】
- 血反吐を吐きながら格上の強敵に立ち向かう激熱なバトル描写が大きな持ち味
5. 強大な力を持つ「白髪の美少女」をはじめとする尖ったヒロイン造形
- 主人公の運命を大きく動かす存在として、神秘的で強大な力を持つ「白髪の少女」がキーキャラクターとして配置されている
- 重度のヤンデレ(メンヘラ)や、純粋な狂気を振りまくなど、ヒロインや女性キャラクターの性格・属性が非常に極端で尖って描かれるのが特徴
おこのみにやき氏の作品は「読者が異世界ファンタジーに求める面白さの方程式」が確立されており、それが「期待を外さない」「ハズレ無し」というブランド(作家性)として昇華されている。
カテゴリエラーを起こさず、読者に絶対的な安心感と興奮を与える領域に達している理由は、以下の3つのポイントに集約される。
1. 邪道な設定と王道の熱さの絶妙なバランスによる確実なカタルシス
- 悪役の皮を被った主人公が、ボロボロになりながらも必死に足掻き、人々を救って信頼を勝ち取っていくという展開が約束されている
- 読者は必ず最後に胸が熱くなるカタルシスを得ることができる
2. 期待を裏切らないお約束のキャラクター配置
- 金髪紅眼の頼れる最強バディ
- 強大な力と神秘性を持つ白髪のヒロイン
- この作者の作品なら、最高に頼りになる相棒と、魅力的で尖ったヒロインが必ず出てくるという安心感
- キャラクター造形において期待外れになることがない
3. 軽快な語り口と重厚な厨二バトルのバランス
- 凄惨な流血や絶望的な状況が描かれる重厚な世界観
- 主人公のゲーム知識や現代のネットスラングを交えたコミカルな心の声
- バランスを取って物語を重くしすぎずテンポ良く読ませてくれる
- いざ戦闘になれば【固有スキル(オリジン)】や【固有臨界(アルカナ)】といった厨二病心をくすぐるルビ振りの特殊能力
- 詠唱を交えた激熱なバトル展開
- スラスラ読める軽快さと命懸けのバトルの熱さのギャップが安定して提供されるため、エンタメとしての満足度が非常に高い
結論として おこのみにやき氏の作品は、「どん底からの熱い這い上がり」「魅力的なバディとヒロイン」「厨二心をくすぐる激熱バトル」が約束された「ハズレ無し」の領域に達していると評価できます。
これが★のある作家さんが見ている世界なのだと、思うんですよ。すげぇなぁ……!