宇佐見凪

わたしの前から姿を消したあなた。かつての面影を追いかけ、わたしは今日も旅に出る。英雄たるあなたにもう一度、わたしという世界を救ってもらうために。

目が覚めた瞬間、流れに身をゆだねる奇想天外な旅へ出る「ぼく」。目的の分からない、いや、目的があるのかもわからないその旅に、終わりは来るのだろうか。はたして、「ぼく」とは……。

広田直繋と幼稚園からの付き合いである、上川淳也。毎年、年賀状のやり取りをしているが、今年の正月に直繋から送られてきたものは、今までとは違った。何故か敬語がふんだんに使われ、目上の…