今までに創作雑感などで書いたように、「うみコト!」ではファンタジー以外のリアル部分についてはしっかり現実に即して書くよう心がけてます。
ただ、「牛鬼と濡女」で題材にした密漁に関しては、かなり単純化したり雑に書いたりしててですね……理由は色々とあるんですけど、まずはどの辺が「雑」なのかというのをいくつか挙げてみます。
○密漁されるのはアワビだけじゃないです。サザエやナマコなどもっと色々あります。
○三浦半島の密漁事案で目立つのは「レジャー密漁」です。その名の通り、一般の観光客などが軽い気持ちで魚介類を獲ってしまい検挙される事案が後を絶ちません。
○現実には、いわゆる「組織」による密漁は東北地方など別の地域で盛んです。
○捜査側の体制や捜査手法はかなり雑に書いてます。役職名もちょっと違うと思います。
○「横須賀の二大勢力」は完全なる作者の創作です。現実には……気になる人は検索してみてください。
ざっと挙げただけでもこんな感じです。
どうしてかというと、理由のひとつは「犯罪やその捜査の手法や事情を、犯罪小説でもないファンタジー作品で事細かに書く必要があるのか」という迷いがあったからです。というか今でも迷ってます。作者が神経質過ぎるだけかも知れませんけどね。この辺のことは、気が向いたら創作雑感でもう少し詳しく書いてみようと思います。
あとは、話を分かり易くするためですね。うみコトは海の事情を全く知らない人にも読みやすいようにというのを常に心がけてるので。
分かりやすくしすぎることによる弊害もあることは承知しつつ、そこは読者の皆さまを信じて、本編の記述を鵜呑みにせず、興味を持って調べたりしてくれると良いなと言う期待も込めてたりします。
というわけで、最後に参考書籍を紹介して締めくくりとさせていただきます。
【⠀サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う 著/鈴木智彦 】
鈴木氏のこの著作には、本当にお世話になりました。密漁のことを全く知らなかった方は、うみコト本編だけでもショックだったかもしれません。でも、現実はあんなもんじゃないです。日本の漁業のどす黒さを知りたい方は、是非とも読んでみてください! (笑)