森の中を歩いていると、ふと、不思議な道を見つけることがあります。
見覚えのない小道。
どこからか聞こえてくる鳥の声。
木々の隙間から差し込む、やわらかな光。
その道を、もしも迷わず歩いていったなら――。
森を抜けた先には、青く美しい海が広がっています。
そして海を見下ろす丘の上に、一軒の小さなカフェがあります。
その名は、
Cafe Lykke(カフェ・リッケ)。
木のぬくもりに包まれた店内では、香り高いコーヒーと焼きたてのお菓子が楽しめます。
そして、このカフェにはもうひとつ、ちょっと変わった噂がありました。
――ここの占いは、よく当たる。
店主のリーサは、タロットとルーンを使って、お客さんの悩みを占います。
恋の悩み。
家族の悩み。
失くし物。
人探し。
時には、事件の犯人探しまで。
けれど、リーサには誰にも言っていない秘密があります。
彼女は――魔法使い。
そして、カフェを手伝っているのは、普通の動物ではありません。
二本足で歩き、人間の言葉を話し、洋服まで着た、
クマ。
ウサギ。
猫。
犬。
頼りになるのか、ならないのか。
真面目なのか、天然なのか。
今日もカフェの中では、何やら騒がしい声が聞こえています。
「リーサ! ケーキが一個足りないぞ!」
「オットー、あなた食べたでしょう?」
「……味見だ」
「昨日も同じこと言ってたよ」
「昨日とは違うケーキだ」
「問題はそこじゃない!」
――どうやら今日も、静かな一日にはなりそうにありません。
このカフェには、誰でも来られるわけではありません。
森をどれだけ歩いても、見つけられない人もいます。
けれどもしあなたが、人生に迷ったとき。
誰かに会いたいと思ったとき。
どうしても答えが見つからなくなったとき。
もしかすると、あなたの前にも一本の小道が現れるかもしれません。
その先にあるのは、
海を望む小さなカフェ。
Cafe Lykke。
さて。
今日のお客様は、いったいどんな悩みを抱えているのでしょうか。
そして――
リーサたちは、無事に解決できるのでしょうか。
海の見えるカフェで起こる、
ちょっと不思議で、ちょっと笑えて、
時々胸が温かくなる物語。
どうぞ、ゆっくりとお楽しみください。