《あらすじ》
彼女はすべてを諦め、悠久に近い刻だけがただただ流れていく。0.32%の終わりを求めて、人類発祥すら一部とする、ある計画が進行していく。これは、絶望の先を描いた物語。
紀元前4万2000年。今は無き幻の大陸・レムリア大陸の若き技術者アニスは、大陸全土で深刻な問題となっていた砂漠化・震災などの諸問題の解決に奔走していた。責任者として被災地に訪れたとき、金髪の、亡き妻の面影があるイヴの名を持つ女性と出会う。聡明な彼女の助けもあり、遂に地震被害を抑える装置を完成させ、配備させ、震災を抑えることに成功する。しかし、アニスたちは知らなかった。人の歪んだ欲望による策謀を……
西暦2030年。東京の某大学薬学部3回生の建早アキトは入院した友人のお見舞いに訪れたとき、一目惚れをする。同じ大学の2つ年上の研究員・飯村薫との一途な恋愛物語。突如、隣の部屋に引っ越してきた赤髪のイヴの名を持つ女性のちょっとズレた協力を得ながら? 彼女の心にある不安を超え、想いを遂げたそのとき、価値観の異なる渇望による凶事が彼らを襲う。彼の、彼の遺伝子から来る行動が、希望をつなぐ。
西暦2331年。航空自衛隊の宇宙開発支援部隊を辞めて、しばしの休暇中に祖母の住む故郷を訪れた建早アダムは、納屋にある開かずの金庫の中にいた壊れた赤髪のアンドロイドと出会う。彼女を連れ帰り修理すると、彼女に木星の衛星イオに一緒に行ってほしいと頼まれる。宇宙を巡ることを夢にしていたアダムは、彼女の願いに興味を持つ。そこに、謎の武装部隊が彼らを襲う。敵襲を退けながら、宇宙エレベーターを使い、軌道ステーションに登り、ある財団の木星調査艦ホルスに潜入する。そこで、アダムは知る事になる。敵の狙いと、アンドロイドの目的を。
そして、アダムは辿り着く。イヴが眠る神の棺に。計画のすべてを知ったアダムは、彼女に銃口を向ける。目覚めた彼女は、微笑みを浮かべて身を晒す。
「さぁ。私を殺してください」