むかしむかし。ずっとむかし
とある山間に小さな村がありました。
村人たちは女神様への信仰あつく
つつましくも、心豊かな日々を過ごしていました。
そんな村人達は女神祭の夜、穀物から作った菓子を焼き
女神像に捧げる事を年越し前の行事としていました。
※女神祭。一年でもっとも夜が長くなる日、こちらの世界で言う十二月の末頃)
とある年の事でした
その年は混沌の影響で穀物が不作となり
食に困る厳しい冬となってしまいました。
それでも村人達は、女神祭の菓子を焼く事を休む事はしませんでした
小さな村に住む村人にとって、女神様は心の支え
日々の感謝を忘れる事をしたくなかったのです。
女神祭の夜、毎年と同じ様に村人達が女神像に菓子を捧げると
奇跡が起こりました!女神様が降臨されたのです。
そして女神様は言いました
「我が子達よ、あなた達が私を愛している事を良く知っています。あなた達が飢える事が私は悲しい。だからこの菓子はあなた達で食べなさい」
すると村人達はこう言ったのです。
「いいえ、私達はその言葉だけで嬉しく思います。だから菓子は女神様が召し上がってください」
村人の言葉に女神様は困ってしまいました
そして女神様は考えました
「ではこうしましょう」
言うと女神様は祝福の光と共に菓子の真ん中を丸く抜き取りました」
「あなた達の想いは受け取りました。私の想いと共に菓子を食べてください」
女神様と菓子を分け合った事を村人達は多いに喜び。
菓子を「女神に捧げる物」あるいは「女神と分け合う物」と言う意味の『ドゥォーナ』と名付けたのでした。
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「…それが時の流れ共に変化して『ドーナツ』になった訳ですねー。諸説ありますけどー」
セルティス先生は語り終えると、狐耳を揺らしながらにっこりと微笑み。
コロネはドーナツの入った袋を感動の瞳で見ていた。
そして私はシスターに聞かされた
『ドーナツの穴には女神様の祝福が込められているんだよ』
…と言う話を思い出していた。
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なんとなくで思い付いた、この世界のドーナツに関するお話でした。
では皆様、メリークリスマス。