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雛禽の空棋 ―꒰ঌℍ𝕚𝕟𝕒𝕕𝕠𝕣𝕚 𝕟𝕠 𝕊𝕠𝕣𝕒𝕘𝕚໒꒱―完結記念✧︎『秋水散人の文』について勝手解釈大発表!

コミ障勢い自主企画
『 七月七日まで、七話読み合い企画 ☆ 自作七羽໒꒱完結記念✧︎』
https://kakuyomu.jp/user_events/16817330659608256803
を解散中です:( ˙꒳​˙ ):


コピペ資料上等☆
禽さん資料を調べ、読み漁りたどり着いた色々を元に、
逸話を入れながら
 
『禽将棋』を詳しく書いた
『禽象戯図解』の内の一文、
『秋水散人の文』について勝手解釈大発表! 🕊‎
閑人の文を、閑人が解釈致しますw

『禽象戯図解』には、天保と文政に刊行された
二つの物があるそうですが……『秋水散人の文』はどちらにも載る文のようです。

群鳥の連翼は花柳を従え、雲を分けるが如し。
が気に入ってしまい、長文勝手解釈スタートしますw 
 

〇以下、参考資料から、漢文訳〇
 
  
大橋宗英は近世象戯者流の魁者なり。
豊田子は其の門で遊び、禽将棋を観る。
当今所行と異なるなり。
其の主は鵬と言う。
余の孰れも鳥の号を用いる。
前へ行き、燕は名を変え、雁と成る。
けだし、春往き秋来たるの意かな。
鵬は逍遥編の大物。
南華扇の真趣は虚なり。
之大者は其れを縮せ虚なり。
実に其の遊びに於いて三千里の見尺盤かな。
然ると雖も所、逍遥は一なり。
群鳥の連翼は花柳を従え、雲を分けるが如し。
すなわち、自適な囲いの者はまた之、真の遊なり。
官務や俗に覊ぐものは皆脱却し、
夏の日や冬の長さを知らず、誠に是を忘れ憂き物なり。
故は有勝の之の語を止めること。
豊田子は周妙に其の技を新しく彫り、
其図式の為、好古は一基境を開く。
余誰鷦鷯の機無く、莫逆有り。
年に因み贅篇尾

秋水散人


☆以下、勝手解釈☆
 
  
大橋宗英は江戸時代の将棋流の先駆者である。
大橋宗英の弟子である私、豊田四郎兵衛は禽将棋を観た。
近頃の将棋とは一味違う遊戯である。
本将棋で言う王将は、禽将棋の鵬(ほう)である。
他の駒も、鳥の名が付けられている。
燕の駒が進めば、雁の駒と成る。
まさしく、春には行ってしまい、秋になれば帰ってくる風流な鳥達という意味が込められているはずだ。
鵬は飛翔する駒の動きで、自由な広さを自らの物にする偉大な存在である。
  
①鵬が羽扇たる翼で行う指揮は、趣きがある一興。だが華やかな南への進軍の裏には、虚しさがある。
②華やかな南の海を目指す鵬が、趣きある羽扇の翼で行う指揮には一興があり、空の如く駒達を包括する。 
  
①鵬は虚しさを内に秘めながらも、偉大である。
②空を体現する偉大さが、鵬にはある。

小さな禽将棋の遊戯盤に、三千里の広さを見る。
盤の空を群れなして飛翔する、駒である禽達の翼は、美しき花柳を従え、雲を掻き分けるよう。
悠々と禽将棋を楽しむ者こそ、真の遊戯者である。
仕事や俗世に縛られる者は、皆将棋を辞めて行き
夏の陽の暑さや冬の長い夜の冷たさも感じない程、働いて心配だ。
この世にありがちな、負の連鎖を止める事が本文の目的である。
私、豊田四郎兵衛は、細やかに優れた禽将棋の技を記し
その記した図式により、古きを好む新しい礎を築き、道を切り開きたい。
私は鷦鷯(サザキという小鳥)のように細やかな技は無いが、大橋宗英先生とは親しい間柄だった。
その縁に感謝し、締めとさせて頂く。
  
秋の澄水の頃の、気ままな閑人より。


□以下、苦労解釈と逸話□ 

  
・大橋宗英は近世象戯者流の魁者なり。 
⇒大橋宗英は江戸時代の将棋流の先駆者である。
 
※大橋宗英(おおはしそうえい)
大橋宗英は江戸時代の将棋指し。九世名人。
将棋三家の一つ大橋分家六代目当主。
江戸時代の最強将棋名人。
※近世は、江戸幕府の創立 (1603 年)から明治維新による東京遷都(1869 年)まで、あるいは関ヶ原の戦い(1600 年)から大政奉還 (1867 年)に至る間をさす。
 
※象戯=将棋

将棋の起源は不詳であるが、古代インドで生まれた「チャトランガ」にあるといわれる。西洋に渡って「チェス」、中国では「シャンチー(象棋)」、朝鮮半島では「チャンギ(將棋)」となり、日本には中国経由で伝わった。「しょうぎ」は中国語の「象棋・象戯(シャンチー)」を音読したもので、「将棋」の漢字表記は日本で当てられたものである。 
『しょうぎ』を示す漢字は、将棋、将碁、象戯、象棋等。
 
※魁=サキガケ
 
・豊田子は其の門で遊び、禽将棋を観る。 
⇒大橋宗英の弟子である私、豊田四郎兵衛は禽将棋を観た。
 
※豊田子=豊田四郎兵衛(とよたしろうへいべい?)
『禽象戯図解』の筆者であり、大橋宗英の門徒だとされています。
 
・当今所行と異なるなり。
⇒近頃の将棋とは一味違う遊戯である。
 
※当今=トウコン 近頃
※所行=ショギョウ 行い、振る舞い
 
・其の主は鵬と言う。
=本将棋で言う王将は、禽将棋の鵬(ほう)である。
 
※鵬(ほう、おおとり)=北の果てにある海に棲む「鯤(こん)」と呼ばれる体が数千里にも及ぶ巨大な魚が、これもまた背が数千里にも及ぶ巨大な鳥「鵬」と化す。鵬は天を覆う雲のような翼を広げ、荒れ狂う嵐に乗って、南の果ての海すなわち天の池へと向かう。そのときには、九万里(古代中語の一里は約400m。この場合は遥か彼方までという意であろう)上空まで飛び上がって舞う。鵬の姿は、熱帯のモンスーンを象徴化、神話化したものとも見られている。
 
鵬雲という、鵬の大きな翼に例えた雲の名もあり。
ちょっとズレますが……鵬飛ユキトの睡鳳眼すいほうがんは、大きな鳥が眠っているかのような眼。平らな眼差しで、流し目が美しい。との事です。
    
・余の孰れも鳥の号を用いる。
=他の駒も、鳥の名が付けられている。

※余=そのほか
※孰れ=イズレ どれも
※号=呼び名
 
・前へ行き、燕は名を変え、雁と成る。
⇒燕の駒が進めば、雁の駒と成る。
 
・けだし、春往き秋来たるの意かな。
⇒まさしく、春には行ってしまい、秋になれば帰ってくる風流な鳥達という意味が込められているはずだ。
 
※けだし=まさしく
※往く=いってしまう

☆春に往く燕と秋に帰る雁、渡り鳥の風流さについて
 
『第六羽໒꒱ 散るは、桜か紅葉か』の粆燕サエンちゃんが、雁に成る参考にさせて頂きました✧︎

〇燕はフィリピン、ベトナムなど東南アジアから、台湾、沖縄などの南西諸島を経由して、3月頃に九州、四国、本州で、4月下旬には北海道で観察されるようになり、なかには日本を通り越してロシアへ向かうツバメもいるそうです。

雁とはガン、ヒシクイさんの事です。
ロシアから9月末頃、宮城県北部にある蕪栗沼や伊豆沼の他に、北海道の宮島沼、新潟県の福島潟に渡って参ります。

〇四字熟語、燕雁代飛(えんがんだいひ)
入れ違いになること、または、互いに隔てられていることの例え。
燕が南から渡ってくる季節には、雁は北へ渡り、雁が北から渡ってくる季節には、燕は南に渡るために出会うことはないということが元。
 
〇人形浄瑠璃および歌舞伎の演目である、
『義経千本桜』
四段目 道行初音旅〈みちゆきはつねのたび〉
の床文の一文、
『雁と燕はどちらが可愛ひ、やゝを育つる燕が可愛ひ、花を見拾つる雁金ならば、文の便もまたの縁、エヽさふぢやいな/\』

冬を過ごした雁が北の国へ去り、入れ替わりに南の国から燕がやって来るころ。近くの草むらからキジの鳴き声やパッと飛び立つ羽音が聞こえてくる。義経を追い、慣れぬ山道を歩く恋人の静御前は、子育て中らしいキジに向かって心の中で応えた。

「あなたは、巣にいる子どもを思って鳴くのね。私は恋路に迷って山の中を彷徨っています。あなたは家も家族もあっていいわね、羨ましいわ、妬ましいわ」
 
……と有るように、非常に風流なのです(語彙力皆無でした、スミマセン)。

気を取り直し……💦

  
・鵬は逍遥編の大物。
⇒鵬は飛翔する駒の動きで、自由な広さを自らの物にする偉大な存在である。
 
※逍遥=ショウヨウ あちこち散歩すること
※編=あむ、組み入れる。
 
☆参考資料によると、鵬の駒が動ける範囲が広いの意という一説があるそうな。
鵬の伝説と、駒の動きが繋がっていそうです。
周囲一マスずつですが……行けないマスが無い、という事だと思います。
 
・南華扇の真趣は虚なり。
⇒①鵬が羽扇たる翼で行う指揮は、趣きがある一興。だが華やかな南への進軍の裏には、虚しさがある。
⇒②華やかな南の海を目指す鵬が、趣きある羽扇の翼で行う指揮には一興があり、空の如く駒達を包括する。 
  
ここまで華やかに例えていたのに、急に寂しい例えになるのは不自然&『虚』には深い意味があると知りましたので、2パターンの解釈を致しました。

※虚ウツロ=中身がない、から。虚しい。
※虚空界=こくうかい。仏語。虚空のように、一切を包括し擁する、色もなく形もない本源的な真如の世界。 

南華扇……正体分からず。
南の果ての海へ向かう鵬を、華やかな進軍に例えていると解釈します。 ……としようとしたところ、
※南華=「南華真経」の略。 変わり者。
が出てきた……無理くり解釈しますw
   
※羽扇ウセン=鳥の羽で作った扇。戦いのとき、指揮者や軍師が持って全軍を指揮する。 
※真趣シンシュ=趣き、誠の面白み

  
・之大者は其れを縮せ虚なり。
⇒①鵬は虚しさを内に秘めながらも、偉大である。
⇒②空を体現する偉大さが、鵬にはある。

※之=ゆく、この
※其れ=それ、(心理的または空間的・時間的に)自分から少し離れたものを指し示す語
縮せ……?
※縮シュク=縮図と解釈。

②説が強まってきたような気がして参ります。

・実に其の遊びに於いて三千里の見尺盤かな。
・然ると雖も所、逍遥は一なり。 
⇒小さな禽将棋の遊戯盤に、三千里の広さを見る。

※於いてオイテ=場所や時間、事柄を示したり、その範囲を限定したりする場合に用いられる。 
※然る=そのような
※雖イエドモ=例え
 
・群鳥の連翼は花柳を従え、雲を分けるが如し。
=盤の空を群れなして飛翔する、駒である禽達の翼は、美しき花柳を従え、雲を掻き分けるよう。

※花柳=はなやなぎ、かりゅう。美しいもののたとえ。
 
・すなわち、自適な囲いの者はまた之、真の遊なり。
=悠々と禽将棋を楽しむ者こそ、真の遊戯者である。

※自適=のびのびとした気持で楽しみながら暮らすこと。
※囲い=①将棋用語、"王様を守る陣形"
    ②取り巻く

☆禽将棋は幼子や初心者向けに考案された説があったので、納得です。 
  
・官務や俗に覊ぐものは皆脱却し、
⇒仕事や俗世に縛られる者は、皆将棋を辞めて行き

※官務=仕事だと解釈
※覊ツナグ、タヅナ=馬の手綱。
 
・夏の日や冬の長さを知らず、誠に是を忘れ憂き物なり。
⇒夏の陽の暑さや冬の長い夜の冷たさも感じない程、働いて心配だ。
 
※是=道理、これ
※憂い=心配
 
・故は有勝の之の語を止めること。
⇒この世にありがちな、負の連鎖を止める事が本文の目的である。
 
※有勝=世間によくありそうなこと
 
・豊田子は周妙に其の技を新しく彫り、
⇒私、豊田四郎兵衛は、細やかに優れた禽将棋の技を記し

周妙出てこず……
※周󠄀=こまかい、行き届く
※妙=すぐれている
 
・其図式の為、好古は一基境を開く。
⇒その記した図式により、古きを好む新しい礎を築き、道を切り開きたい。

※好古=古い時代の物事を好むこと
※一基=動かない物の数え方。礎等。
  
・余誰鷦鷯の機無く、莫逆有り。
⇒私は鷦鷯のように細やかな技は無いが、大橋宗英先生とは親しい間柄だった。

※鷦鷯サザキ、ショリョウ=みそさざいとも。ミソサザイ科の小形の鳥。日本産の鳥では最小で、全長約一〇センチメートル。尾は短い。羽は焦茶色で暗黒色の細横紋がある地味な鳥。雄は美しい声でさえずる。

※莫逆バクゲキ=非常に親しい間柄。

※機󠄁=細かい働きをする、からくり。
  
・年に因み贅篇尾
⇒その縁に感謝し、締めとさせて頂く。
 
※因み=ゆかり、縁。
※篇尾ヘンビ=一編のおわり。

  
秋水散人
⇒秋の澄水の頃の、気ままな閑人より。


※秋水=①秋のころの澄みきった水。
    ②曇りのない、よく研ぎ澄ました刀。

※散人=世事を離れて自由に暮らす、閑人。


☆お読み頂きありがとうございました☆

爆疲( ̄▽ ̄;)💦
テンション解説恐ろしき……
  

2件のコメント

  • 解釈は概ねその通りかと。興味深い考察です。

    「南華扇の真趣は虚なり」は次の「之大者は其れを縮せ虚なり」と併せて、ちと難しい。ここに否定的な含みを持たせるような表現は使わないはずだけど…

    そもそも「南華扇」が造語なのかな。類例が見当たらない。

    華扇=華が扇の様に広がり咲き、その場所に癒しの風を与えてくれる

    ↑引用元は、札幌の中華料理店HPですw

    それは兎も角、南に向けて進軍する様を想定しているのが面白く、燕が雁に成り替わる…って、この辺りの発想も軽くゲームの域を超えている。

    「燕雁代飛」ってファンタジックな四文字熟語が存在しているとは。しかも出典は紀元前…

    奥深い知識と見識が盤上に詰まっていて、粗製濫造の今のボードゲームやソシャゲとはレベルが違い過ぎる。
  • 「南華扇の真趣は虚なり」
    「之大者は其れを縮せ虚なり」
    悩みましたw
    今だと「虚」はうつろのイメージが先に来ますが、当時の「虚」=空だった可能性あるのかなぁ……と文脈から②で肯定的解釈に(笑)

    おぉ、華扇の意味あったのですね!\(*ˊᗜˋ*)/
    癒し系だったとは!

    南華扇、造語だよなぁ……と思いつつ、どういう意味での造語!?
    と謎でした(笑)
    南華で変わり者って、急に意味わからん……と思いつつw

    禽将棋を作った人?に近い弟子なら、鵬の帰郷先について知ってるはずだと南の海に勝手に関連させたり(笑)

    結構、燕と雁について参考資料でも押し出されていて、鵬なみの目立ち具合でしたw
    丁度良く発見した、「燕雁代飛」の四字熟語がぴったりでした✧︎

    秋水散人、なんか閑人なのに、禽将棋から未来を憂えてる凄い人だったのか! と、
    秋水散人の意を汲み、禽将棋を広めてくENDに(笑)
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