吉野亜莉寿の転校話が本格的に進み始める三学期を描いた第十二章は、作者のお気に入りの邦画である『（ハル）』をサブタイトルにさせていただきました。
内野聖陽さんと深津絵里さん主演の作品なのですが、これまた、校内放送の番組プロデューサーからツッコミが入りそうな地味な映画でありまして・・・(^_^;)
ただ、秀明に思い入れたっぷりに語らせた様に、小品ながらも、ネットを介したコミュニケーションに傾倒していく際の心理やヒトが他者との繋がりを求める理由、そして、ネットを通じてポジティブに変わっていく人間の内面が、とても丁寧に描かれていて、ＳＮＳ全盛期の現在にもつながる普遍性を持った傑作映画なのではないか、と作者は考えています。
あらためて見直すと、ネット黎明期ならではのインターネット（パソコン通信）に対する期待感や高揚感がヒシヒシと伝わってきて、単純に「あぁ、こんなことあった！」という懐かしさとともに、「あの頃は良かった」という哀愁も感じさせてくれる貴重な作品だと思います。
映画『（ハル）』と同じく離れた場所にいることになる秀明と亜莉寿の関係が、どのような展開を迎えるのかについても、注目してもらえると嬉しいです🙇