数年越しの執筆、創案から数えれば6年以上かかったが、ようやく推定最終章、十二章の終盤を執筆している。
振り返れば長い旅だった。
東日本大震災の年のゴールデン・ウィークに内房を旅行中、急性盲腸炎が発覚して飛んで帰ってそのまま緊急入院し、二週間ほど煮える涅槃を彷徨っていた最中に、浮かんだよしなし事を記したメモから始まったこのアイデアは、その後長らく眠りについたのち、コロナ前後に息を吹き返した。
はじめはキリスト教のことなど何一つ知らなかったが、何故か家にあった義姉の名の刻印された聖書を読むことからはじめ、関連書籍を芋蔓式に片端からあたっていった。気づけば一端の中世マニアのようになっていたが、知れば知るほどまだまだ何もわかっていないと気付かされるのはどんな分野でも常である。
2000年代に趣味のホームページを構えて400字詰め原稿用紙換算100〜120枚程度の掌編を3ヶ月程度で書き散らしては掲載し、同好の士らに感想をいただいて満足していた頃から幾星霜、もう書くこともないだろうと思ってからの、おそらくこれが最後と思い定めての作品は、これまでの遊び半分と一線を画す覚悟を込めたものになった──とこっそり自負するものの、評価は読者に一任するにやぶさかでない。
ともかく、気を抜かず最後まで書いたなら、エピローグを添えて巻を閉じよう。
そして、この執筆のために留保してきた、さまざまなやりたいことを心置きなく始めるぞ。おー。手始めに三線始めるぞ。おー。