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レビュー、ありがとうございます

読者の皆様もそうでない皆様も、いつもお世話になっています。

『Nのゆりかご』完結から明日で2週間。2件ほどレビューをいただきました。
1件は以前、近況ノートにも書きました。@niku_9様。
2件目は、湾多珠巳様
湾多様の小説は音楽にまつわる青春小説やちょっと皮肉の効いたSFと幅広くお洒落なので、私も愛読しています。丁寧な感想だけでなく厳しい指摘をいただくこともしばしばですが、それだけに信頼のおける読者様です。
ここでは、そんな湾多様から頂いたレビューの一部を紹介したいと思います。私の独断と偏見で抜粋していますので、真意を読み誤っているかもしれません。皆さまに置かれましては、一度、全文に目を通していただけたら幸いです。

ーーーレビュー、抜粋ーーー
”N”テーマ作品随一の、社会派ミステリーの怪作。
 名作「ゴルゴ13」が名作たり得ているのは、何も正確で信頼できる国際情勢リポートが作品中に取り上げられているから、ということではありません。むしろ、あのコミックのネタをそのまんま本気にしてしまう人は、周囲から「イタい人」とひそかに敬遠されることでしょう。なのに、なぜみんな「ゴルゴ」を絶賛するかといえば、それは、モノホンの国際陰謀が作中に取り上げられていると"錯覚できるほどに"リアリティを盛り込んでいるからです。
本作にも同じことが言えます。……(中略)……何がリアルかといって、「政治家はこういうふうに嘘をつく」「官僚はこういうやり方でミスをごまかす」「組織の上位者はこういう形で下っ端を使い捨てにする」という一つ一つの描写の生々しいこと……(中略)……。
 何よりも特筆すべきは、それらのストーリーを一件たりとも単純な勧善懲悪で処理していないことです。……(中略)……「こんなふうに政府は情報を粉飾するではないか」「大マスコミはあえて真実から目を逸らしているではないか」と訴えられると――それが「ゴルゴ」的なフィクションっぽい話だとは十分承知の上でも――確かにそういうことなのかもしれない、と疑いたくなるほど、充分なリアリティを感じてしまいます。
……(中略)……
一つだけよくわからないのは、冒頭部分をはじめ、あちこちにごく短い形で挿入される……いまひとつ美しくないというか、要するにスケベ? なシーンの意図、ですね。
……(後略)
ーーーーーー

この場を借りて、何故スケベなシーンを書くのか、自分なりに考察したいと思います。
ひとつには、湾多様もおっしゃるように(略してしまいましたが)コミカルな幕間の意味があります。緊張感を持ったまま最初から最後まで走り抜けた方がスマートな物語になるとは思うのですが、私の筆力では単なる政治批判に陥りかねない。それで政治と異なる部分で気分転換を図りたいと考えています。願わくば007の映画のように、主人公と美女のセクシーなデートシーンを挿入したいところですが、日本の物語には違和感があるような気がします。単に私の照れがあるだけなのかもしれませんが……。
二つ目には、私の人間観があります。
私は人間の行動はエロスとロゴスの間で揺れていると考えています。エロスとロゴス、格好をつけて難しくいってみましたが、本能と社会性、感情と理性と考えていただけたらと思います。
物語の登場人物を描くのに、厚みを持たせるためにあえて物語とは関係のない家族を描くことはよくあると思います。私としてはスケベはその家族的な部分の象徴です。どのような恋愛をするのか、あるいはしないのか。どのような相手を選ぶのか。その景色を描くことで少しでも登場人物に厚みを持たせたい。
『Nのゆりかご』では、朝比奈はおちゃめなエッチを仕掛けて妻にけんもほろろに扱われるし、高木支局長は長いことレスだった。けれど、新潟に行く直前、妻を抱きます。
詳細に描かないのは最近の風潮です。セックスですることは個人差が少ないので描く必要はない、というような。個人的にはもう少し書きたいのですが、すると単なるエロ小説になりそうなので、懸命にこらえることにしています。(笑)
そして三つ目には、たとえば映画にした場合、そうしたシーンを見てみたいという、私のスケベ心が描かせているのです。

と、長々とスケベシーンについて語ってしまいました。自己分析も不十分で冷や汗ものです。さらりとやり過ごしていただけたら幸いです。

では皆さま、今後も御贔屓に、よろしくお願いします。

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