春は素晴らしい。 鼻孔をくすぐる沈丁花の香りに弾む君の笑顔を、桜が讃える。 夏が待ち遠しい。 僕の名を呼ぶ君の声に、蝉時雨も蚊帳の外へと消える。 秋が待ちきれない。茜色の空を眺める君は灯火のように儚く、美しい。 冬は 「お前、何気持ち悪い文章書いてんの?」 はんじょう!? え、どうして?いつの間に? 「いや、ここ楽屋だろ。台本読んでんのかと思ったら気持ち悪りぃ。春だの夏だの、お前引きこもってるから分かんねえだろ。」 はんじょう、それは文学に対する冒涜だよ。 「好きな子でも出来たのかよ。」 そ、それは。 「まぁいいや。ほら、リハーサルの時間だから行くぞ。」 楽屋から去る背中に言葉は出ず、溜め息と共に紙は丸めて窓から投げ捨てた。 春風に乗り紙屑は青空を舞う。 2人の恋の行方は、捨てられた紙屑はどこへ向かうのか。 おにやの本当の気持ちを唯一知る紙屑にもその行方は分からない。 冬は忘れない。はんじょう、君が産まれた季節だ。
ラブコメや、ファンタジー小説を主に書いています! 書籍化目指して、日々奮闘中(´▽`) コメント返せないことが多くて、申し訳ないです! 略歴 ・『第16回ファンタジー小説大賞』奨励賞受賞。タイトル:パーティ追放が進化の条件?! チートジョブ『道化師』からの成り上がり。 ・『第4回次世代ファンタジーカップ開催』 ユニークキャラクター賞。 商業作品 ・拾った子犬がケルベロスでした: ~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~(アルファポリス)
北海道在住の作家・漫画原作者。日本推理作家協会、マンガジャパン、文化団体協議会会員。茶人。
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