いつも『黒猫クロと異世界の獣医さん』を読んでいただき、ありがとうございます。
今回は本編とは少し離れて、ちょっとしたお遊びです。
「もし、この作品がアニメになって主題歌があったら、どんな歌になるんだろう?」
そんなことを考えていたら、思った以上にイメージが膨らんだので、実際に歌詞を作ってみました。
タイトルは、
『ふたつの月の下で』
です。
この作品で大切にしている、
「一人ではできないことも、誰かとなら……」
というテーマを軸にしています。
知らない世界にやってきた小春。
傷ついた黒猫との出会い。
クロやルナ、そしてセレスティアで出会っていく人たち。
小春が誰かを助けるだけではなく、小春自身もこの世界の人たちから教わり、支えられながら歩いていく。
そんな物語の雰囲気を歌詞に込めました。
できるだけ「異世界」「獣医師」「魔法」といった直接的な言葉は使わず、作品を知らなくても一つの歌として読めるようにしています。
そして、今はまだ意味の分からない部分もあるかもしれません。
物語が進んでからもう一度読むと、少し違って見える歌詞になっていたらいいなと思っています。
それでは――
『黒猫クロと異世界の獣医さん』
もしも主題歌があったなら。
『ふたつの月の下で』です。
――――――――――
『ふたつの月の下で』
【Aメロ1】
いつもの道を 歩いていたはずなのに
見上げた空には 知らない月がふたつ
白く揺れる光 淡い紫の夜
帰り道さえも どこかへ消えていた
足もとで小さく 震えていた影
傷ついたその手を 見過ごせなくて
何ができるのか まだ分からないまま
ただそっと この手を伸ばした
【Bメロ1】
知らないことばかりで
できないことも多くて
それでも目を逸らす理由には
したくなかった
分からないなら 見つめよう
届かないなら 手を借りよう
ひとりで抱えなくていいと
君が教えてくれた
【サビ1】
ひとりでは届かない場所も
君となら歩いてゆける
違う言葉 違う願い
ひとつずつ重ねながら
小さな命のぬくもりを
この手のひらで確かめて
今日もまた 名前を呼ぶよ
ふたつの月の下で
【Aメロ2】
朝露に濡れた 葡萄の葉が揺れて
水車の音が 静かな朝を運ぶ
にぎやかな市場 行き交う足音
知らない景色が 日常に変わってく
薬草を知る手も 森を見てきた目も
長い年月 歩み続けた知恵も
私の知らない答えを持っていて
またひとつ 世界が広がった
【Bメロ2】
正しさはひとつじゃなくて
私だけじゃ足りなくて
違うからこそ つなげられるものが
きっとここにある
教えてもらった優しさを
今度は誰かへ渡したい
できることを持ち寄ったなら
昨日より先へ行ける
【サビ2】
ひとりでは守れないものも
君となら守ってゆける
違う知恵も 違う強さも
ひとつずつ重ねながら
差し伸べた手から次の手へ
受け取ったものをつないでく
いつの日か誰かの明日を
照らせる灯りになるように
【Cメロ】
いつかこの道を
歩けなくなる日が来ても
いつかこの声が
隣に届かなくなっても
同じ空を見上げることが
できなくなる日が来ても
出会ったことまで消えないと
今なら そう思える
書きかけのページを残そう
まだ白いその続きを
私の文字が途切れた場所から
誰かがまた書けるように
【ラスサビ前】
救えるかなんて 分からない
正しい答えも 分からない
それでも目の前にいるなら
私はきっと手を伸ばす
ひとりで無理なら 声を呼ぶ
君の知ってることを教えて
そうやって歩いた足跡が
いつか道になるから
【ラスサビ】
ひとりでは届かなかった場所へ
私たちは歩いてきた
泣いた日にも 笑った日にも
隣には誰かがいた
守ることは戦うことだけじゃない
そばにいることも つなぐことも
受け取ったぬくもりをいつか
次の誰かへ渡すことも
たとえいつか離れてしまって
違う空を見上げていても
君と歩いたこの時間は
消えずにここに残るから
だからもう 振り返らないよ
それぞれの明日へ歩いてゆく
続いてく足跡を照らして
ふたつの月の下で
【アウトロ】
風がそっと ページをめくる
懐かしい文字の その先へ
新しい文字が ひとつ増えて
また次の朝が始まる
知らない誰かの 小さな命へ
今度は君が手を伸ばす
物語は終わらない
ふたつの月の下で
――――――――――
本編とは少し違う形ですが、『黒猫クロと異世界の獣医さん』の空気を感じてもらえたら嬉しいです。
今の物語を知っている状態で読む歌詞と、もっと先まで物語が進んでから読む歌詞。
たぶん、少しだけ意味が変わって見えると思います。
これからも、小春とクロたちの物語をよろしくお願いします。