一段目左:『惑星C66、チンピラ』これは余談だが、かつて地球…惑星A00では"古き神話"という創作が流行った時期があった。そして、その物語には悍ましい異形の神々が登場するのだが、ここに出てくる神々は実の所恒星間生物であったのではないかという説もある。
一段目中:『惑星C66、チンピラ』脇にドエムを抱き、襤褸ホテルへ向かう君。ホテルは下層居住区の一角にある。ここはこの惑星U66の、言ってみればスラムだ。
一段目右:『惑星C66、準備よし』 "セコハン・クローズ" には二人の老人がいた。一人はサイモン。そしてもう一人は…
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二段目中:『惑星C66、準備よし』「ってことでよ、それからちょっとダベって、あとはラジオを買って来たぜ。38000クレジットだ」38000クレジット。これはアースタイプの、一般的に美人とされる女性と30分程大人の付き合いができる額でもある。決して安くはない。君はホテルに帰り、ドエムに戦果を報告して自慢気にラジオを見せつけた。
二段目中:『惑星C66、前日』ちなみに、君が口ずさんでいた何やらチャラめな歌は "Θ§Λζ÷÷" というアイドルユニットの曲だ。このユニットはそれぞれが異なる種類の宇宙人からなり、星系を跨いだ人気を誇っている。
二段目右:『惑星U101①』窓の外には無数の星々が、無限に広がる暗黒の宇宙空間に散りばめられている。星々の光はぱっと見ればどれもこれも同じに見えてしまうが、よくよく目を凝らせばその光の一つ一つがそれぞれ異なっている事に気付くだろう。
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三段目左:『惑星U101①』惑星U101、"海の星"。その特徴は驚異的な天体物理学的現象により惑星を海が包み込んでいる事だ。地表は緑豊かな森林、森林、草原、森林。
三段目中:『惑星U101②』君はひたすら大きく、ひたすら深い大渦の底へとどこまでも落ちていくような感覚を覚え、膝上のドエムを普段よりも強く撫でまわした。──勿論、ビビってるわけじゃないが
三段目右:『惑星U101②』実際の水中は君がビビってたほどには不気味ではなく、むしろ幻想的ですらあったからだ。やがて、視界の先に光が見える。
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四段目左:『惑星U101②』「あの柱は下から上に向かって伸びているというか、噴出しているんだな。随分とバカでかい噴水だなァ……。そうだ、なあドエム。あの柱の一本、アレだな、あの左に見えるやつ。あの近くまで飛べないか? 近くて見てみたいんだけど……え? ダメ? 帰りの燃料の事を考えろ? ……たし、蟹」
四段目中:『惑星U101②』 ──例えば暗くて糞寒いボロ部屋で、小汚くて小さい机と椅子。机の上には糞不味い蒸留酒で満たした、これまた薄汚いグラスを置いて、窓から見える2つの月を観ながら酒を飲んだりするのさ
四段目右:『惑星U101②』「しかし広すぎるぜ。ウチと比べて何倍もでかい星なんだろう? 地球と比べても11倍以上か。……まあいいか、時間は沢山あるもんな。それで、とりあえずドエムに言われた方角へ向かってるけど、目的地はどこなんだ?」 君が言うと、ドエムはそのキュートなモノアイから光を照射し、まるでミニチュアの模型のようなホログラフィックを地面に浮かび上がらせた。
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五段目左:『惑星U101④』空だ。空が渦を巻いている。
五段目中:『惑星U101④』君の知っている者で、この憂き目にあった者の数は一人や二人ではなかった。生きているものなどいやしない、皆が皆、碌でもない末路を遂げている。
五段目右:『惑星U101④』ジリとトキコは何か言葉を発する余裕もなく、神話の世界にしか存在しないような巨人がその蒼い剛腕で地表を殴りつけた様な光景が広がる。
