いつも「孤独な公女と、沈黙を貫いた公爵の真実」を応援して下さり、ありがとうございます。
本日19時 第十六幕 「お出かけの準備」を公開します!
屋敷の外に出されなかった公女セラが、執着強めの男爵ヨハンと街へ……。と、その前に、浮かれる二人のほのぼのとしたお話の回です。
本日は挿絵が間に合いましたので、こちらに貼ります。
物語と一緒にお楽しみいただければ幸いです!
――第十六幕 「お出かけの準備」より――
「あ、えっと、急なことだったのでジェーンにお洋服を借りたの。……変……だったかしら」
「まさか!セラ様は何を着てもお似合いになります!ただ、あまりに可愛らしかったので、外に出したくないと思って……」
「え?」
顔を上げると、ヨハンは頬を染め、自らの手で口元を覆っていた。
(外に出したくない……それって)
「……わたくしとお出かけしたくないってこと……」
シュンと眉を下げて、スカートを握り締める。
すると、大きな手で両手を包まれた。
「違う!違います!むしろ、お出かけしたいです!ずっとそうしたかったんだ!誰にも邪魔されずにっ」
「まぁ、よかった」
ホッとして顔を上げると、ヨハンは両手で顔を覆い隠していた。
「ああ……私は何を言っているんだ!こんな醜態……。どうか、今の言葉は忘れて下さい」
弱弱しい声を漏らしながら、ヨハンはへなへなとしゃがみ込んでしまった。
くしゃっと前髪を握り、耳の端を赤くしている。
目の前の彼の姿が可愛らしくて、思わずクスッと笑みが漏れた。
「ふふ、私もヨハンとお出かけしたいわ。さあ、参りましょう」
ヨハンの顔の前に両手を差し出す。
顔を上げたヨハンは、少年のようなキラキラと光る瞳で微笑み返した。
「そうですね。行きましょう」
スッと立ち上がった時には、いつもの紳士の姿。
けれど、今までのように遠い存在だとは感じない。
差し出された腕に指先を預けると、まるで大切な物を守るように、大きな手がそっと覆いかぶさった。
くすぐったい気持ちを抱えて、足取り軽くエントランスを出た。
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https://kakuyomu.jp/works/2912051600024146273