エルアーム国を創造するにあたって、いくつか文献を読みました。
その中で、エルアーム国のイメージに合っているのは、実は古代エジプトやオリエントの文明かなと思っています。
作中で主人公は『オスマン帝国と神聖ローマ帝国を足したような』世界だと考えています。
確かに衣装は中世〜近世ヨーロッパの衣装を、政治(人頭税)や衛生観念はオスマン帝国寄りなので、深璃がそう思うのももっともです。
ですが、私が最初に頭に浮かんだのは古代エジプトのアテン信仰でした。
多神教国家をしていた中にいきなり現れた一神教国家です。
残念ながらアテン信仰は民に受け入れられませんでしたし、実際の政治的な運用を考えればアモン信仰の方がよほど近いのですが、私は多神教の中でも末端の、あるいはマイナーな日輪をいきなりメインに据えたアテンに面白さを感じました。
惜しいことにオリエント諸国は古代エジプト王朝の滅亡より前に海の民によって滅ぼされ、古代エジプト王朝も、ローマ帝国に吸収されてしまいました。
歴史の教科書にも、特にオリエントなんてヒッタイトが製鉄技術を持って古代エジプトとバチバチにやり合ったけど、謎の海の民にやられて滅亡しましたくらいにしか書かれていません。
古代エジプトだって、ピラミッドとかパピルスとかエジプト神くらいのイメージですよね。
けれどよく考えると、古代エジプト王朝は3000年続いた恐るべき王朝です。
しかも近隣諸国とは友好的で使者を送り合い、法律もしっかりと作られている。
技術面でも堰堤(ダム)を築き、現在に残るピラミッドまで造っている。
図書館司書としては、アレクサンドリア図書館も外せません。
たまたま"未来"から観測しているから"古代"と呼ばれているだけで、乱暴な言い方をすればゆるやかなポストアポカリプスのあとに私たちの現在があると言っても良いくらい、高い技術を持っていたのです。
エルアーム国は私の、古代ってロマンなんだよなという憧れから生まれた国です。
まあ、深璃が飛ばされた時期のエルアーム国は、政治と宗教が癒着し、王政が形骸化しかけている、国として熟しすぎて腐り始めた頃なのですが。
五代目国王の頃ってだいたいそれくらいの時期が多いですよね。
と、今回は完全に古代世界史オタクが書き散らした文章でした。