エルアーム国で使われる人名や地名、神聖文字には、それぞれ違いがあります。
この世界の言葉で言えば、神聖文字に対応しているのはヘブライ語。
そのため、古くからある地名や神官たちの名前はヘブライ語由来のものや、それっぽい響きのものを選んでいます。
ノアはヘブライ語で「安らぎ」を意味する男性名。
ダニエルは「神は私の裁判官」
レビは「結びついた」
それ以外の登場人物たちは、またそれぞれ言語の名前です。
一話で登場したアラシュたちヴァフラカーンは、すべてイラン系の名前で統一しています。
アラシュは古代ペルシア神話の弓兵アーラシュから取っていて、意味は「正直」
フェリドゥーンはイラン神話の英雄の名前から取っています。
クロウリーはゲール語で「屈強な戦士の子孫」
二話から登場する吸血鬼、アレクサンドラ(アレクシオス)・ケッヘルは、名前はどちらも「守護者」を意味するギリシャ語から来ています。
ケッヘルは古くからある貴族の名字です。
エルアームでも歴史と違わず、基本的に貴族やある程度高い地位にいる者しか名字を持たないので、作中クロウリーも名字を名乗ることはほぼありません。
余談ですが、クロウリーの名字であるブラッドバレーは、ケッヘル卿に付けられたものです。
一応彼なりに、貴族相手でも商売がしやすいようにと名字を与えたのですが、谷の魔術師一族を殺された少年に血の谷と名字をつけるとは、なかなか大胆というか皮肉が効いているというか……。
ヘブライ語はセム語族ですが、クロウリーやアレクサンドラ、アラシュたちはインド・ヨーロッパ語族の言葉由来の名前を持ちます。
私のイメージでは、おそらくエルアーム国は多神教国家だったアムネイル時代から少しずつ領土が拡大するにつれて他民族が流入していったのでしょう。
そのうち、もとの民族とは違う人々が台頭していき、今に至るのではないかなと考えています。
史実でもよく見られることですね。
ファンタジーの中にも、少しでも歴史を感じられればと思います。