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【作品語り※ネタバレあります】第八話(3)のヴォルクさんについて補足というか蛇足

第八話(3)の回想について少しだけ補足させてください。
読まなくても多分問題ないですが読んでるともっと「ああああーーー!」ってなれるかもしれません。





ヴォルクさんは地下街生まれの成り上がり上位魔術師です。
20代くらいまではもうナイフのように尖っていました。
魔術学校を主席で卒業した後、もっと上の地位をと欲をかいて政略結婚をしようとしていました。
相手はデンドリック家に生まれながらも魔術師としての才能を持たない無能の娘ブランシェ。

通常であれば、どんなに優秀でも地下街育ちの元貧民が結婚できるような相手ではありませんが、デンドリック家もブランシェのことはもてあましており、嫁ぎ先選びには苦労していました。優秀な魔術師と優秀な魔術師を掛け合わせれば優秀な次世代が生まれてくるという思想がまかり通っていたためです。

例によってデンドリック家も近親交配で健康な子供が生まれにくくなっており、ヴォルクさんは魔術師としてはめちゃくちゃ優秀な人なので、「まぁ、ブランシェだったらもし無能な子どもが生まれてもしゃあなし」という理由で婚約話が持ち上がりました。ヴォルクさんは当時自分が上にいければあとはどうでもいいと思っていたのでこの思惑に乗りました。

ところがこのブランシェさん、魔術師の家に生まれながら魔術師の才がないことで、色々とドロドロした魔術師教育の被害に合わず、わりとほっとかれ気味で野放図…否、奔放で明るい性格に育ちました。ブランシェとの交流を持つうち、ヴォルクさんは憑き物を落とされ、自分の一番根っこの望みに気がづきます。
しかしそれはデンドリック家との婚姻によっては叶わないどころか、完全に逆方向となるものでした。

ヴォルクさんは苦しくても後悔しても添い遂げる道を選ぶか、ブランシェと別れて自分らしく生きるかの二択を迫られます。

ブランシェは自分が籠の鳥の立場であることは理解しており、自分のためにヴォルクさんを縛り付けることを良しとせず、ヴォルクさんもせっかくブランシェが変えてくれた自分を捨てて添い遂げることが果たして彼女にとって本当の幸せなのかと悩みます。
(駆け落ちとかいう選択肢が出てこない男…)
(それも平坦な道ではないので、ブランシェが言い出してこないから自分からは言えなかったとかなのか…女心がわからないひと)

結局二人は別れを選び、言い出したのはヴォルクさんですが体裁上はデンドリック家からの婚約破棄という形で円満に別れました。デンドリック家からは一切お咎めなしだったので、八話(3)の回想で塩対応された時にとても動揺しています。
(御当主は弱みとして握っておけばどこかでヴォルクさんを便利に使えると思っており、そしてブランシェの経歴が多少汚れたところで痛くないと考えてました)


その後、ヴォルクさんは魔術学校の教師になり自分の道を進みます。一番脂が乗ってて精力的に働いて、相応の地位も評価も手に入れて、自分の人生に満足しています。向かうところ敵なしの状態だったので、ブランシェからセピアさんのことをお願いされた時、彼は自分なら約束を守れると信じて疑いませんでした。

というわけで、セピアさんを元気なうちに救い出せなかったことは彼にとって人生初の深い挫折と癒えない傷になっており、そこから現在の面倒臭いヴォルクさんになっていきました。

ちなみにこだわりポイントですがヴォルクさんとセピアさんに血縁関係はありません。


ifを考えるなら、セピアさんがブランシェとヴォルクさんの娘として生まれてたらお母さんと同じような非魔術師で、窮屈だけどそこそこ平和な日々を送っていたかもしれないなぁとか。


この辺のお話は学園編で詳細にやろうと思っているのですが、多分そっちでは彼の子供時代から書いていくことになるので、本記事で補足した内容までカバーするか怪しいところだなーということで珍しく近況ノートっぽい内容を放流してみることにしました。

今後とも引き続きお付き合いいただければ幸いです。
ではでは。

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