春は素晴らしい。 鼻孔をくすぐる沈丁花の香りに弾む君の笑顔を、桜が讃える。 夏が待ち遠しい。 僕の名を呼ぶ君の声に、蝉時雨も蚊帳の外へと消える。 秋が待ちきれない。茜色の空を眺める君は灯火のように儚く、美しい。 冬は 「お前、何気持ち悪い文章書いてんの?」 はんじょう!? え、どうして?いつの間に? 「いや、ここ楽屋だろ。台本読んでんのかと思ったら気持ち悪りぃ。春だの夏だの、お前引きこもってるから分かんねえだろ。」 はんじょう、それは文学に対する冒涜だよ。 「好きな子でも出来たのかよ。」 そ、それは。 「まぁいいや。ほら、リハーサルの時間だから行くぞ。」 楽屋から去る背中に言葉は出ず、溜め息と共に紙は丸めて窓から投げ捨てた。 春風に乗り紙屑は青空を舞う。 2人の恋の行方は、捨てられた紙屑はどこへ向かうのか。 おにやの本当の気持ちを唯一知る紙屑にもその行方は分からない。 冬は忘れない。はんじょう、君が産まれた季節だ。
IQHLeiAGmM
RPGゲーム好き。異世界ファンタジー系メインでたまにSF系の小説を書いています。得手はのんびり系、不得手はざまぁ系、ハーレム系
初めまして、背伸びした猫です。 ファンタジー作品の執筆を主に活動しています。読書の方は基本的にKindleでしているので、サイト内の作品はあまり読まないかもしれません。 主な投稿作品 『感情』 状 態:連載中 文字数:5万文字未満 話 数:30話未満 『称号の無いもう一人の勇者』 状 態:完結済み 文字数:約25万文字以上 話 数:137話以上 『貫クベキ正義ハ誰ガ為ノ』 状 態:完結済み 文字数:約70万文字 話 数:272話 『天才魔法使いは自由気ままに旅をする』 状 態:完結済み 文字数:約37万文字 話 数:121話