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【初期案】魔法が使えず剣を極めた俺、死んだと思ったら貴族令嬢の妹になっていた~第一話 そもそも貴族令嬢じゃねえじゃん~

ダンジョンの底で、岩盤に体を押しつぶされ血を垂れ流している男が一人――

地面が揺れ、天井が崩れ落ちようとしている。

手に武器を握る力はない。体を動かす力もない。そして巨大なゴーレムの魔物が命耐えそうな俺の命をなくさんとし近づいてくる。

どうしてこうなったのか。

簡単だ。パーティの奴らに騙され、見捨てられたのだ。

走馬灯のように思考が加速する。

——―通称生きている迷宮とも呼ばれるこのダンジョン。その難易度は超高難度で世界中からも腕扱きの冒険者がパーティを組み、万全の準備をしてもいまだに踏破したものはいない。

それだけでなく、ある期間たつとダンジョンが動き出し入り口がふさがり出られなくなってしまうという、タイムリミットまでついている。

そして第5層最終階25Fには俺達では到底勝てない強さのボスがいた——貴重なアイテムを使用するか、一人を犠牲にしなければ逃走をなし得ないほどに——

すでに二度失敗していた。残りの逃走用のアイテムは一つしかない。

次の階は情報の少ない未踏の地。もしかしたら手つかずの宝箱が眠っているかもしれない……

そんな状況で焦っていたのだろう。昨日の夜、俺を抜きに何か話をしていたのを疑うべきだった。

まあ当然だ。パーティで一番不要なのが俺だったのだろう。

なにせ陰気な男で嫌われていたし、何よりも——魔法が使えない。

練り上げた剣術でA級冒険者までたどり着いたが、それにも限界があったという事だ。

こんな末路とは、まあ冒険者としてはよくある事か――



いやだ。

悔しい。

ちくしょう。ちくしょう。

悔しい。よくも俺をだましやがって。よくも俺を殺しやがって――

だが、奴らの命もすぐに絶えるだろう。すでにタイムリミットは来た。ダンジョンは崩壊をはじめ奴らもただでは済まないだろう。

それはもういい。だが俺が悔やんでいるのは――俺自身だ。

俺に魔法が使えれば。もっと他人に嫌われないような人間であれば。

せめて、来世は誰からも愛される人間に――

そんな願いはすでに叶わない。今、ゴーレムが拳を振り下ろし俺にとどめを——



「――助けてあげましょうか?」



声が、聞こえた。

ゴーレムの腕が一瞬にして落とされる。爆音が響き、巨体が吹き飛び壁にぶつかったその振動が響く。

顔を上げる。そこで俺が見たのは—―小さな小さな少女のような人影だった。



「いえ、助けてあげましょう。その代わり——」



彼女は言う。嬉しそうに、恍惚そうに、されどあざ笑いながら、残酷そうに—―



「あなたの、体を頂戴?」



—―意識が、途絶えた。



***



「ばあちゃーん、人が流れてきたで」

「人が? こんなダンジョンの奥地にまさか……本当だねえ」

「どうするん?」

「冒険者が野垂れ死ぬのなんて珍しくもないけどねえ……仲間に見捨てられでもしたのかねえ……こんな幼い子が、可哀そうに、せめて丁寧に……」

「でも、なんか息しとるで」

「……助けてあげましょうかね。果たして、生き残ったのは運が悪かったのか良かったのか……」



***



バチ、バチと火が燃えている。

そこは、どこかくらい洞窟の中だった。そばには川のように水が流れている。地下水か何かか……ぬれたぶかぶかの服とぼろきれにくるまり、辛うじて火の熱さで体の温度を保っている。

力が入らない。体を起こそうとするも上手く体が動かない。手を動かしたところに手が届かない。

少しずつ体を這わせて、川をのぞき込む――体に起きた異変を確かめる。

水に反射してに移ったのは、赤毛の小さな女の子の姿だった。



「?」



右手を上げる。水面に映った少女は左手を上げる。

右手で顔を触る。小さくやわらかなほっぺたがそこにある。

自分の腕を見回す。後ろを向いて背を確かめる。

なるほどつまり、俺の体は、小さな女の子の姿になっていた。



「なんじゃこりゃあああああ!!!?!?」

――――――――――――――――――――――――

なんと、初期案ではダンジョンスタートだったのだ。
そしてこの頃はまだ嫌われる呪いがなかった様子が見受けられる。
つまり、魔法が使えなかったのが使えるようになった……というのがメインだったわけですね。

ちなみにタイトルは、「魔法が使えずパーティから追放されダンジョンに放置された俺、目が覚めたら強大な魔力を手に入れていた――ただし少女として。パーティが壊滅したらしいけど今の俺にはどうしようもない件」
強大な魔力要素をさっさと出せや。

読み返してると色々感じるけど、A級冒険者なんだ……なんかしょぼくない?
あと赤毛だったんだ……つまり最初は令嬢要素がなかったわけですね。
んで、謎のおばあさんと少女と出会ってなんやかんやしながらダンジョンの外に出て冒険者になって……という話だったわけですよ。
まあ冒険者生活書くのめんどかったから没になったわけですが。
初期プロットを探してたら見つけたので、☆たくさんもらったお礼として供養します。

更新ペースを早くするのは……今週中は忙しいので土日になんとか出来れば。
一応この初期案は4話くらいまで書いてある模様。
☆たくさんもらえたらこっちの続きも投下します。

コメント

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